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移動時間―運行速度が下がるということは、移動に費やされる時間が年間4億3,000万時間増えるということであり、これは10億4,000万レアルに相当する。

事故の増加―事故に巻き込まれる人の数は年間32,000人増え、うち8,000人は重傷、420人は死亡すると考えられる。このコストは年間1億レアルである。

これらの数字を考えると、金額に換算できない質的な面を別にしても、現在のメトロの運行は年間21億3,000万レアルを節約していることになる。このことはメトロがSPMRにとっていかに重要であるかを雄弁に物語っている。

サンパウロの公共交通の水準向上にメトロが果たしている役割は、交通機関相互の統合政策が功を奏してさらに強化されている。メトロの駅のうち23の駅にはバスターミナルが設置され、乗り換えが迅速・快適にできる。5駅にはメトロポリタン鉄道との統合施設がある。さらに4駅には長距離バスターミナルがあり、7駅にはパーク&ライド施設がある。

 

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() Sum exceeds Total due to multiple mode integration

Source: OD-97 Survey

 

1995年半ばから、サンパウロメトロは、経費(運用経費と管理経費)を運賃収入でまかなえるようになっている。年間輸送量が1kmあたり1,460万人という驚異的な地下鉄網の利用度に加え、会社の経営が経費を抑え、特に契約支出を削減することに成功している。営業外収入も増え続けている。

 

変化を続けるメトロポリス

最近10年間に、工業分野の雇用数は29.9%減少しているが、逆に商業(50.9%)とサービス(34.7%)分野では増加している。人口の増加率も減少し、1977年から1987年は年間3.33%であったものが、1987年から1997年にかけては1.66%になっている。SPMRの人口は高齢化が進み、移動のパターンも変化して、新しい違ったニーズが生まれている。

 

 

 

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