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4.7 車両管理

(1) 車両支援のための窓口となる行政機関

車両は全般的に余剰しており、車両自体の支援は必要ない。

バス事業者が車両を所有しているため、車両援助に関する行政機関は存在しない。

部品、工具の支援は、直接事業者に支援するか、もしくは、ソフト的な施策導入(購入資金の提供、関税引き下げ、共同購入など)の提案が考えられる。

 

(2) 車両管理状況を監視する行政機関

JPJが監督機関である7。ただし、実施のためのリソースは全て民営化され、PUSPAKOM社8として運営されている。また、1997年から、排出ガスに関連する事項はDept. of Environmentが担当することになっている。

JPJが直接関わる業務は商用車両の取り締りであり、特に、「Laws of Malaysia Act 334 Commercial Vehicle Licensing Board Act 1987」の第44項に、JPJの商用車両の取締りについて明記されている。

 

(3) 現状稼動台数、現状故障状況等の車両インベントリー

Transit Link社は所有数500台中200台が故障しており、修理の見込みも立っていない。また、稼働中のもののなかには安全面で不安なものが多い。しかし、所有車両はTransit Link社の前身である7つの中小事業者が持ちよったものであり、全ての車両の中から良好なものを選出して運行しているので、以前と比較すれば車両は平均的に良くなっているという(Transit Link社)。

一方で、車体塗装が各社バラバラだったため、車両基準の改善よりも市場イメージの形成(コーポレートカラーのアピール)を優先した、という見方もできる(Maju社)。このような動きは、Transit Link車両だけで通用するストアードフェアカードヘの先行投資にも見ることができる。ともかく、Transit Link社は行政命令により合併したが、行政からの補助は出ないため、合併に関連する初期投資が必要な状況である。現在、新しい整備工場を建設中であるのもその一つである。

 

Maju社は所有数111台中約10台が修理中であった。Maju社は管理された整備工場を持ち、独自の車両基準を設定して高品質の運行を実施している。車両の使用年限を5年としており、所有車の平均車齢は3年である。エアコンバスの割合は77%と高い。また、広告バスを提供しているのはMaju社だけである。料金カード導入の構想はあるが、計画段階には至っていない。

 

7 Laws of Malaysia Act 333 "Road Transport Act 1987"

8 マレーシアのVision 2000(2020年までに先進国の仲間入りをする)の一環として、省庁実務の民営化が進められている。PUSPAKOM社は15年間の自動車定期検査実施に関する委託契約を政府と締結している。

 

 

 

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