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3.11 問題点のまとめ

ビエンチャン県庁と運輸省の組織連携の問題

ビエンチャン首都圏の交通行政はビエンチャン県庁が受け持つ。しかし、現状はMCTPCの実働事業部隊として機能している。ほとんどの業務内容が都市インフラの建設・建築発注作業であり、交通計画、事業計画等の業務は行われていないに等しい。都市内バスの運営は全面的に傘下のSBCに委託している。SBCは県庁の傘下の組織でありながら、国の機関のMCTPC運輸局との連携が強い。これは、バス事業管理など規制政策に関する行政機能が運輸省にのみ存在するという背景が考えられるものの、県が果たすべき役割を果たしていないといえる。

 

価値の高いJICAバス事業支援実績

JICAによるバス事業支援は非常によく機能している。所得の低い市民に就業・教育へのアクセス手段を確保している点、300名程度の従業員を抱えながらバス運行・整備に関するOJT教育を行っている点、安全・確実・安価な都市交通手段を提供している点など、非常に高く評価することが出来る。1999年のバス車両提供後にバス利用者が3倍程度になったのは、需要の高さ、市民からの評価の高さ、従業員の意識の高さが伺える。結果的にSBCの営業状況は好調で、バス事業収入は国庫の重要な財源の一つとして位置づけられている。

 

SBCのJICA依存

バスと他の都市交通手段(トゥクトゥク、ジャンボー、タクシーなど)の料金と比較すると5〜10倍程度の開きがある。SBC所有車両のほとんどはJICAからの支援であるため、バス購入分を計上する必要がないことから、他の交通手段と比較し低い価格を維持することが出来ている。これは、貧困層への交通手段供給の観点からも評価できる。

その一方で、持続可能なSBCの運営には、無償提供のバスに依存することなく自己資金での調達・運営が必要であり、そのような視点は欠けているといえる。

 

民間都市間バス事業者の成長

国内移動の自由化、道路整備の進展に伴い、民間の都市間バス事業者が順調に成長している。特に、ラオス北部方面の民間バス事業者は1997年に組合組織から会社組織となった。現状、都市内バスは公営バスが独占しているが、民間事業者との調整・連携なども今後検討する必要が出てくる。

 

基幹交通の導入

石油エネルギー供給の問題点、豊富水力による電力供給などの背景からトロリーバスの導入が検討され始めている。検討といってもまだ構想段階であるが、総合的な交通体系の観点からの検討が必要であると考えられる。

 

 

 

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