3) 分析計の安定度が低い場合は、こまめな較正が効果的である。
4) 所要時間は、約4時間程度と予想される。
(b) 船上での検査「エンジンパラメータチェック法」
1) 経年的な汚損を考慮した刻印場所、刻印方法等の検討を要す。
2) ピストン抽出時はターニングができないため、ID番号が確認できない部品がある。
3) 所要時間はピストン抽出を伴わない場合で、1シリンダ約1時間である。
4) NOx関連部品との適合性の初期確認をいつ実施したらよいかが明確でない。
(c) 船上での検査「簡易船上計測法」
1) 海上計測に適した可搬性のある測定機器が少ない。
2) 所要時間は、各負荷での計測に約1時間、全体で約4時間を要した。
3) 時間の制約や海域の設定、計測員の手配を要し、当日の気象等に左右される。
4) 検査結果の即時性が求められる。
5) NOxの制限値を超えた場合の一時的な救済措置を講じておくことが必要。
エンジンの製造から、就航後にわたるNOx鑑定シミュレーションの実施例は、世界的に見ても初めてのケースと思われる。本シミュレーションを通じ、附属書VI発効前に解決しておかなければならない問題点を効果的にピックアップすることが出来た。附属書VIを効果的に運用するためには、現状からあまり逸脱しない、簡便かつ効果的な検査方法について、今後更に検討する必要がある。
2.2.3 パラメータ変更時の対応
NOxテクニカルコードではNOx排出率に影響を及ぼすパラメータとして以下のものを挙げているが、燃焼改善の目的で運転諸元を調整したり、部品を変更する場合は、これらのパラメータを変更する場合が多い。
1) 噴射タイミング
2) 噴射ノズル
3) 噴射ポンプ
4) 燃料カム
5) コモンレイル方式における噴射圧
6) 燃焼室
7) 圧縮比
8) 過給機型式及び構造
9) 空気冷却器、空気予熱器
10) バルブタイミング
11) NOx低減装置“水噴射”
12) NOx低減装置“エマルジョン燃料(水エマルジョン燃料)”
13) NOx低減装置“排ガス再循環(EGR)”
14) NOx低減装置“選択接触還元法を用いた脱硝装置”
15) 主管庁が指定するその他のパラメータ
これらの規定されたパラメータに変更や調整がある場合は、変更後のパラメータがNOx排出規制に適合していることを定められた方法で検証しなければならないことから、NOx排出規制対象船においてパラメータの変更が行われた場合の取扱いについて検討することとした。また、陸上の試験台上において実機を使用して過給機のノズルリング等の変更を行ってNOx排出率を実測し、変更による排出特性の違いを調査した。合せて、SR235部会における調査結果についても引用して検討した。