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2. 大気汚染防止システムの調査研究

 

2.1 研究の内容

「IMO MARPOL73/78附属書VI」の第13規則および「舶用ディーゼルエンジンからのNOx規制に関するテクニカルコード」(以下NOxテクニカルコード)の実運用は次の3つのステップに分けて考えることが出来る。

始めのステップでは、エンジン本体の認証が行われ、NOx排出率が許容限度を満足していることが確認されれば、エンジンに対して「エンジン国際大気汚染防止(EIAPP)証書」が発給される。次のステップでは、船舶の認証が行われ、船舶搭載後のエンジンが要件を満たしていれば、その他の要件も含め船舶に対し「国際大気汚染防止(IAPP)証書」が発給される。最後のステップは、船舶の生涯を通じ最も長い期間となるが、第13規則が維持されていることが確認され、「IAPP証書」の裏書または再発給が行われる。

しかし、例えば海上公試時や通常運航時のNOx測定方法・装置、規制値を超えた場合の扱いや、経年劣化による変化の扱い等、具体的に起り得る問題に対しては規制の内容が不明瞭であり、実際のエンジンや船舶の建造・運航にあたり解決しなければならない問題も多い。また、第13規則は、2000年1月1日以後に建造された船舶(エンジン)に遡及適用されることになっていることから、既に第13規則の対象となるエンジンが出現しているが、対象となる船舶(エンジン)が発効前にどのような対応をとるべきかについても不明確である。更に言えばこれらの規制は、附属書VIに基づき、船籍国政府(主管庁)の管理の下に実施されることとなるが、附属書VIが発効していないため、現時点では船籍国主管庁の意向は明らかにされていない。このため発効した場合、附属書VIに基づいて船舶を運用するに当たり混乱を来すことが予想される。

そこで本研究では、舶用ディーゼル主機関から排出されるNOxを対象として、附属書VIの実際の運用にかかわる問題点を技術的、経済的な観点から調査・整理することを目的として、以下を実施した。

1) 「国際大気汚染防止証書(IAPP)」取得に関る手続・申請サンプルの作成

2) 運用シミュレーションの実施と検証

3) パラメータ変更時の対応方法の検討

4) 既存船適用時への対応方法の検討

5) 附属書VI発効時への対応方法の検討

6) 情報収集(欧州事情調査、船級協会との意見交換会、アンケート調査)

7) 問題点の整理

8) 対応に要する費用の試算

 

2.2 研究の成果

2.2.1 「国際大気汚染防止(IAPP)証書」取得に関る手続・申請サンプルの作成

附属書VIでは、エンジンや船舶のNOx排出に関係する書類が要求されているが、その詳細な内容については不明瞭な部分も残っており、統一的な解釈は示されていない。更に現時点では各国主管庁の意向が全く表明されていないため、主管庁や船級協会、エンジンメーカ毎に異なった書式となる可能性が極めて高いが、書式や記載内容に相違があった場合、主管庁等からこれらの過不足を指摘される可能性がある。

 

 

 

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