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計算パラメーターとしては、通路歩行速度1.0[m/s]、通路流動係数1.5[p/(m・s)]、階段歩行速度0.5[m/s]、階段流動係数1.33[p/(m・s)]、最大人密度3.33[p/m2]を使用する。

解析は、防災指針と同じく同じ経路を使用して避難するグループ毎に計算し、部屋番号は船首側から順に、通路番号は、基本として避難の避難集合場所から最も遠い通路を1番(path1)とし、集合場所まで順に番号をつけた。

ガイドラインにおいて混雑と判定される3FG1グループは、24人の2等寝台室3室、16人の2等和室2室、合計104人が避難するエリアであり、3階グループにおいてもっとも避難経路が長く且つ避難時間のかかるグループである。部屋前の通路は、避難開始5秒後から10秒後には滞留が始まり、ネックとなる階段前通路が滞留を起こし、後ろの通路に波及している。階段後の通路に滞留は発生はなく、148秒で避難は完了する。

避難完了時間が最大となったのは、甲板上の長い距離をあるく5FG1と5FG3の合流グループ(以下5Fグループという)が最長で188秒かかっている。5Fグループのシミュレーションにおいては、室内、通路共に滞留は全く発生せず、ガイドラインによる結果と相違する。代表ノード間で計算を行う方法では、歩く距離に関係なく代表ノードでの合流、流出入を計算することからタイムラグ等を処理できないことに原因がある。

滞留は、階段または出口等の代表ノードのみならず、通路中間地点にあたる位置においても発生し、大人数の部屋を持つグループでは、部屋からの流出待ちも目立つ。3FG1グループの24人部屋が3室並んでいる真ん中の部屋からの流出は、避難下流側すぐに16人部屋の出口もあることから滞留し、部屋内から流出完了に40秒かかっている。防災指針においては、途中の滞留を考慮しないことから部屋内からの流出完了が23秒としている点が大きな違いである。群体モデルと防災指針における避難完了時間を表3.3.1に示す。どのグループにおいても、群体モデルにおける避難完了時間が1%から12%、平均して5%程度増えている。ただし、秒数にして10秒未満である。増加の原因はシミュレーションでは代表ノードまでの途中においても滞留が発生し、代表ノード点における流出に影響を与えるためである。事実、3FG3グループにおいて、防災指針では部屋からの流出完了を23秒と計算する。それに対しシミュレーションでは部屋内の滞留が解消するのは42秒である。事実、部屋前の通路も滞留しており部屋からの流出完了に待ち時間が発生するのは当然である。このため、集合場所への出口にたどり着き、出口の最大流量で流出するまでの時間に差がでるために、避難完了時間が増大する。

 

表3.3.1 群体モデルと防災指針における避難完了時間

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