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そして、アジア8カ国の世界に占めるシェアは、1975年の11%から1995年には36%まで増大し、1999年には、約38%となり、年々増加している。

しかし、嘗ては、コンテナ貨物と比較的相関していたOECDの経済成長率で世界経済を示すとすれば、年平均、1980年代の約2.8%と異なり、1990年代には約2.3%へと減少し、21世紀の初期には、約2.0%程度へ減少するものと見込まれている。そして、今後のコンテナ取扱量の伸び率は、1985年から1995年の成長期の約10%前後に比べて約5%程度に半減するとすれば、2005年には、世界合計で約247.6百万TEUへ増加するものと予測される。しかし、この内、日本を除く東アジア8カ国のコンテナ取扱量は、1998年の69.0百万TEUから、2005年には約110.0百万TEUへ増大し、世界合計の内に占めるシェアはさらに約44%に増加し、国際貿易量におけるアジアの役割は、現在以上に重要となっているであろう。(第1表参照)

 

第1表 世界の港湾でのコンテナ取扱量

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資料:Containerization International Yearbook

見込みと予測は筆者の推算。

注:'94年までは、東アジア9カ国とし、NIES4カ国(韓国、台湾、韓国、シンガポール)、ASEAN4カ国(インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン)と中国。95年以降は、香港を中国に含めた8カ国。

 

(2) 定期船運航船社の構造変化

世界の定期船業界には、各地域間の主要外航航路や域内航路に多くのコンテナ船運航の船社が存在し、Clarkson Researchの統計によれば、保有船腹量が約13千TEU以上のコンテナ船を運航している外航コンテナ航路の主要企業は、1999年末に60社で、世界合計のコンテナ船船腹量の内、約81%を占めている。そして、その他の企業を含めた100TEU以上のコンテナ船の船腹は、世界合計で約441社が運航し、1999年末の保有船腹量は、約2,550隻、約4.24百万TEUであった。

1980年前後のアジアにおけるコンテナの発着貨物量の急増は、特に盟外船社であるアジア船社の競争力や貨物取扱量の増大を著しくさせ、そして、1984年の米国海運法実施により米国関係航路の同盟では、その機能の形骸化が進んで、日本や西欧の先進海運国の競争力の低下を招いた。さらに、その後、1999年5月の米国改訂海事法は、自由競争を促す内容のものであり、太平洋航路の海運同盟は消滅を余儀なくされた。もともと船腹量拡大競争の激しい環境の下、各航路でのスペース需給には過剰感が常に横溢し続け、運賃水準はコストを下まわる事が多かった。そして、1995年後半以降からの北米航路における運賃急落はスペース需給が極端に緩んだ結果であった。この為、殆どの船社が赤字経営で悩む事になり、この様な状況の中で、世界の各船社は、各航路毎にグループ化によるコンソーシアム(企業連合)を組み、業務協調による合理化やコストダウン対策を促進し経営改善への努力をした。

そして、2000年春までに、世界の外航コンテナ船業界は、アジア、欧州そして米国の主要航路を主体に、数多くのアライアンスを構成し、共同配船やターミナルの共用等の業務協調を実施した。そして、さらに保有船舶のFOC船化や運航と乗組員の手配などを船舶管理会社へ委託する等のように、船会社の経営形態の合理化が促進され、著しく定期船業界の構造変化が進んでいるのである。

 

(3) 運航採算や合理化への対応

このような定期船市場での構造改善が促進された結果、グローバル・アライアンスによる企業合併や業務協調による共同配船、スペースチャーター、港湾ターミナルの共用などの合理化と同時に、スケール・メリットを狙ったコンテナ船の船型大型化が、1990年代になってから急激に進展し始めた。

 

 

 

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