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2] 個体モデルの評価

個体モデルのシミュレーションプログラムについて検討し、多層構造物にも拡張を行った。個体の挙動の設定などが行えれば詳細な検討ができることが分った。また、乗組員の、逆方向移動も実現が可能である。

3] 群体モデルによる詳細な計算と流出係数などの実験による設定

群体モデルによる詳細な試計算のほか、流出係数あるいは集団とは逆方向に乗組員が移動するときの流れの変化などを、実験用通路を構築し実際に人間を使って観察し、係数を導いた。

4] SOLAS暫定ガイドラインの検討

SOLASの暫定ガイドラインについて、安全性要件などを検討した。

以上、本年度は群体モデルによるシステムの検討、必要事項の設定を行い全体システムと安全性評価手法の設定の準備を行った。次年度にこれらの検討結果を取りまとめ、最終的に安全性評価用シミュレーションシステムとそれを利用した安全性評価手順の確立を行う予定である。

 

2.6 船舶の総合的安全評価(RR 49)

本調査研究は、船舶の安全・環境に関する社会的規制について、その透明性の確保と説明責任を果たすため、安全・環境レベルを維持・向上しつつ、社会的コストを最小化し得る総合的な安全評価システムの基盤を確立し、IMOにおけるFSAの開発・運用に対し、我が国意見を的確に反映し、総合的安全評価(事故分析)に基づく合理的な安全・環境対策の立案方法を示すことを目的とした5ケ年計画で行うものである。

本調査研究は、前記のRR42の成果を踏まえ、将来幅広く利用されるであろう安全評価(FSA等)の言わば、「インフラ整備」を行うものであり、RR74のばら積み貨物船のFSA検討の様な個別具体的ニーズによって実施されるFSAについては今後とも個別RRでそれぞれ対応していく。但し、それぞれ得られた成果は他のRRに反映すると共にRR間の連携を図って行くこととしている。

研究の初年度である本年度は、船舶の総合的安全評価に利用できると考えられる各種安全評価手法等を文献により幅広く調査しとりまとめた。主なものは次のとおり。

・建築基準法改正に関連する防火・防災設計

・SOLAS防火規則への性能基準の取り込み

・IMO FSAの概要

・船舶技術研究所におけるPSA関連研究

・RR 42の研究

・化学物質の安全評価

・核燃料運搬船に関する安全性評価方法

また、FP(防火小委員会)へ検討が送られた即座警報型火災感知器の安全性向上効果について、FSA手法を考慮して調査した。

一方で、船舶の総合的安全評価体制の確立に必要なデータベース構築のための方策に関する検討を行いとりまとめた。主な項目は、次のとおり。

・データベース調査

・船舶関連データ調査

・安全評価関連データベースの整理

・データベースの目的と使い方

・データ項目の検討

・データベースの運営、管理の検討

今後の課題として、

・具体的な安全評価を検討しながら、評価手法とデータベースの整備を検討することが必要。

・ヒューマンファクターの考え方は整理が必要。

・同等性評価(性能評価)手法は、別途検討を進めることが必要。

・データベースの所有権・使用権について整理が必要。

等があげられた。

 

 

 

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