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(報告)

 

平成11年度RR研究の概要報告

基準部

 

(社)日本造船研究協会で行っている船舶関係諸基準に関する調査研究は、国連の国際海事機関(IMO)の海上人命安全条約や海洋汚染防止条約等の規則・基準(国際規則)の制定、改正事業に貢献するとともに、条約化された規則・基準の適切かつ合理的な国内規則化のための素案(国内規則)の作成を行い、もって船舶の安全性確保と海洋環境保全に資することを目的としている。

国際規則関係では、IMOの委員会等に対応するため、7つの基準研究部会(以下「RR部会」と言う)を設置(常設)し、調査・検討を行うとともに、必要に応じて試験研究を行い、IMO委員会等への提案・意見をまとめ、IMOの委員会等に出席し、意見を開陳した。国内規則関係では、条約の国内規則化の検討及び船舶技術の変革に沿った基準案を作成するため、5つのRR部会(常設は1)を設置して、審議・検討を行い、省令案等の作成を行った。

また、IMOにおける動向、SOLAS第II章、第V章の改正案、操縦性暫定基準の見直し、油タンカーの縦強度評価の要求、TBT塗料の規制の動向等について東京・広島の2会場で報告会を開催した。

以下に、平成11年度の船舶関係諸基準に関する調査研究(RR研究)の概要を報告する。

 

1. 国際規則に関する調査研究

1.1 復原性・満載喫水線・漁船安全に関する調査研究(RR71)

損傷時復原性関連規則は、現在、旅客船は決定論(予め想定すべき損傷と損傷後に満足すべきGZmax、GZarea等の残存要件が具体的に決められている基準)、貨物船は確率論(想定すべき損傷の位置、大きさ、深さ等を確率分布で与え、損傷後の残存確率を定められた値以上とさせる基準)で規定されている。SLFでは旅客船の基準を確率論に統一するとともに、貨物船も含めたSOLASII-2章の改正作業を行っているが、検討の結果、ばら積船、PCC等の基準が本改正により従来の基準よりも厳しくなり、設計に影響を与える恐れがあるので、必要な調査、試計算を行い、我が国提案の作成を含め、対応を行うため、昨年度の新規則案による到達区画指数Aの試計算に引き続き、SLF42の検討結果による船種毎に要求区画指数Rを決定するための一助として、PCC、ばら積船等8隻について、新規則案に従ったAの試計算を行い、新規則案に対する日本提案作成資料を得た(図1)。

また、Ro-Ro旅客船の損傷時復原性実験について、地域協定(ストックホルム協定)の模型試験法の中にある転覆の定義に基づき、横波中で波上側に損傷口がある場合の転覆実験を行い、転覆限界波高を求めた。さらに、浸水中間段階における船体運動について実験的検討を行い、浸水中間段階における復原性要件に関するオランダ提案の妥当性について検討した。

上記の他、仏提案によるコンテナ船の部分風雨密ハッチカバー採用のための特別要件について検討を行い、コメントのとりまとめを行った。

 

1.2 防火に関する調査研究(RR73)

平成11年度中、IMOの防火小委員会(FP)においては、SOLASIII-2章総合見直しの他、旅客船の避難解析のガイドライン及び煙制御設備の基準に関する検討を重点的項目として火災安全の向上を目的とする諸作業が進められるとともに、環境保護の観点から提案された船上消火装置におけるPFCの使用禁止措置及び人体に有害なアスベストの船上における使用禁止措置に関する検討が行われた。

 

 

 

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