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(巻頭言)

 

無題

上條剛彦

 

先日、筑波山大御堂と南明山清滝寺に参拝した。東京駅から筑波山行きの急行バスに乗り、2時間弱。思ったより便利である。筑波山参拝の後、タクシーで清滝寺へ行き、参拝後は約6kmの道を土浦駅行きのバス停まで歩いた。これで、阪東三十三観音巡礼も結願の補陀洛山(ふだらくさん)那古寺(なごじ)を残すのみとなった。一昨年の7月から参拝をはじめ、ようやく満願も見えてきた。その満願をいつ行うか考えるのも楽しみの一つである。

阪東三十三観音巡礼は、私が当社の津製作所から、東京の本社へ転勤となった98年4月ごろ、私の同期入社のI氏から薦められてはじめたものである。I氏は既に2回の満願を済ませ、3回目を目指している大先輩である。朝早く家を出、電車、バスを乗り継ぎ、時には2時間を歩き、ようやく目的の寺に着く。心静かにお参りし、御記帳をしていただき、また歩き、バスに乗り、電車に乗って帰ってくる。何も考えずただ疲れきって帰り着き、風呂に入って寝る時、今日の満足感に満たされる。それが観音巡礼だと思っている。

阪東三十三観音巡礼は、四国八十八ヶ所巡礼、西国三十三観音巡礼と共に、日本で最も著名な仏教巡礼の一つである。およそ千年の昔、花山法皇によってはじめられた、と伝えられる。その多くが六世紀から八世紀初頭にかけて創建された、由緒正しい歴史を持っている。その昔は、堂塔伽藍を備え、非常に隆盛を誇った寺々であったが、打ち続く戦乱や、明治の廃仏運動などによって衰微し、一部の寺を除いて、その多くは、昔日の面影は無い。

満願がかなったら、又一番札所から巡礼をはじめよう、と思っている。第一番札所の大蔵山杉本寺から、第三十三札所の補陀洛山那古寺まで、2、3年はかかると思うが、こつこつと巡ってみる。観音様へのお願いも、自ずと変わってくるものと思っている。少し欲が出て、業の安定、私自身、家族の健康などを願うかも知れない。

阪東三十三ヶ所巡礼とは別に、西国三十三観音巡礼もはじめた。私は、家族が三重県津市に居住しているため、津に帰った時を見計らって、順次巡っている。妻の運転する車で巡っているが、車での巡礼は、何か安易な感じがして、あまり欲しない所であるが、時間の関係でやむを得ない。時間が出来たら、ゆっくりと巡りたいと思っている。

 

※ 日本鋼管(株) 常務

 

 

 

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