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諮問委員会は同年6月に次のような提言を行った。

1] 1999年7月1日から2000年12月31日までの18ヶ月間、3%の補助金制度を適用する。(提言当時の補助金は5%)

2] 新たに、造船技術革新スキーム(Shipbuilding Innovation Scheme)を導入し、1999年7月1日から2004年6月30日までの5年間適用する。これは研究開発や設計革新を奨励し、造船業界の発展および国際競争力の維持・強化を図るもの。

3] 補助金以外の政府の活動(輸出金融保険公社による融資、オーストラリア貿易振興庁による輸出促進など)は引き続き適切な運用をする。

 

政府は諮問委員会の提言を受け入れ、補助金を3%に引き下げ、引き続き実施すること、造船技術革新スキームなどを含む、造船業界に対する統合的な支援政策を1998年末に発表した。

以下、これらの政府諸策を説明する。

 

● 造船補助金制度(Ships Bounty Scheme)

連邦政府が国内または輸出向けのいずれについても、対象船舶の原価の一部を造船所に補助する制度。これは、海外における多額の政府助成制度に対するオーストラリア造船業界の保護を意図したもの。造船補助金制度自体は、第3章で述べたように、1939年に提案され、戦後施行されたものである。

1998年末連邦政府は、諮問委員会の提言を受け、ヨーロッパで実施されている助成制度に相当する造船補助金を、1999年7月1日から2000年12月31日までの間対象建造コストの3パーセント補助にて継続することを認める一方、2001年1月1日以降の同補助金の段階的廃止を決定した。

 

● 造船技術革新スキーム(Shipbuilding Innovation Scheme)

1998年の統合支援政策で新たに創設された制度。5年計画で研究開発や設計上の技術革新を強力に奨励していくために導入されたもの。同スキームでは、補助金登録造船所が、対象建造コストの2パーセントを上限として、技術革新に対する支出の50パーセントの給付を請求できる。

なお、造船補助金制度および造船技術革新スキームによる補助金を受けるためには、造船補助金法Bounty Ships Act 1989に基づき造船所として政府に登録する必要がある。登録の条件は、次のとおり。

・ 連邦政府あるいは州・準州の法律により法人化された企業であること

・ 補助対象となる船舶の建造あるいは改造を完了することができる技術力および資本力があること

 

 

 

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