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オーストラリアのメーカーは、高速モノハルフェリーの製造には経験が少ないところが多い。

また、最近、車・乗客用の高速カーフェリーの市場も拡大しているが、この分野ではオーストラリアのシェアが高い。この市場ではカタマランが多い。

高速船市場は、さらに速力の高い、大型の船へとシフトしつつある。民間調査会社のワイルド・インターナショナル社によると、旅客2,500人、車両700台の輸送能力を持った140〜150メートルの高速船も開発されると予測している。2005年までの需要は、新規・代替両方で、大型・高速化がすすむと見込まれている。

 

3-3-2 高速貨物輸送船

 

高速貨物船も需要拡大が見込まれている市場である。政府と造船業界では、高速貨物船市場の調査を1996年と1997年に実施したが、その調査によると、航空輸送あるいは船舶輸送から高速船貨物に切り替え可能な潜在市場規模は9千万トン(世界の貿易量の8%)あるという。

オーストラリア造船業界では、500海里までの距離の輸送なら、40ノット以上の高速船を使えば航空輸送と対等に競合できると考えている。高速貨物輸送はオーストラリアの造船業界の強みを発揮できる分野である。Austal社は、ガスタービンを使用して、千トンの貨物を42ノットで665海里輸送できる長さ95メートルの高速貨物船を設計した。Incat社では、28,000kWのディーゼルパワーを利用して35ノットの速力を出せる高速貨物船を設計した。

 

3-3-3 豪華モーターヨット

 

高速旅客船と比較すると小規模であるが、オーストラリアは蒙華モーターヨットの分野でも国際競争力が強い。この市場はニッチマーケットであるが、非常に細分化されている。Oceanfast社などが国際競争力を有したオーストラリアのメーカーである。市場としては、欧州、米国が主である。

 

3-3-3 パトロール船および漁船

 

オーストラリアは、太平洋パトロール船計画(Pacific Patrol Boat Program)の船設計・製造を手掛けており、また香港、クウェート、フィリピンなどへの販売実績もあり、パトロール船でも強い競争力をもっている。パトロール船は、アジア太平洋地区では、軍隊、税関、漁業、捜索救助など、広く使用されている。また、鋼製作業船、漁船の建造でもオーストラリアは実績があるが、輸出向けは少ない。高付加価値漁船が国内市場向けに建造されている。

 

 

 

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