日本財団 図書館


3.1.4.1.2.3 市場における日本のエンジンメーカーのイメージ戦略

高速船分野においては、日本の造船所の価格競争力が強くないことから、日本の造船所の営業力に頼ることは、マーケットでのシェアを獲得する上では適切であるとは言えない。そこで、欧米メーカーと同様に、他国の造船所、若しくは、船主に自ら食い込む必要が出てくるが、現状では、これらに対して的確な情報の提供、セールスが行われているとは言い難く、この分野における改善が必要となっている。特に、日本製エンジンは顧客から高速船用として最適とはみられていない。本プロジェクトの成功には、このイメージに関わる問題に対処する必要がある。日本製舶用エンジンに対して悪いイメージはなく、本質的には優れたエンジンと考えられている。旅客船事業者間での否定的イメージは下記に基づく:

→ 現地代理店のサービスが充分ではなく、保守及び代替部品供給に問題を生ずるという考え。

⇒ 現地代理店の変更、もしくはエンジンメーカー直営拠点から現地代理店に対する保守能力・在庫保有上の支援強化(熟練技術者の派遣、部品配送日数の短縮等)。

→ 高速船に適した日本製高速エンジンに対する知識不足(本プロジェクトにて面談した人々の大部分は、日本のエンジンメーカーが高速エンジンを製造していることを知らず、うち数人は日本製エンジンが重過ぎると考えていた。)。

⇒ 当該地域の高速船事業者(船主)に対するエンジンカタログ・ビデオ及び仕様のダイレクトメールキャンペーン、ウェブサイト開設等、情報の提供及び手段の多様化。

 

また、このようなネガティブイメージの払拭だけでなく、欧米メーカーと比較して、優れている点についてのイメージ作り(比較広告等)が必要である。

→ 燃料効率

⇒ 燃料が比較的高いフィリピン市場等において、日本製エンジンの燃費の良さを強調する(当該地域における高速船航路採算性におけるキーファクター)。現状の販促資料、セールス訪問においては、日本製エンジンの燃料効率の高さを強調しているものは少ない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION