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大ボア径のモデルは、パナマックスコンテナ船にとってもシリンダ数の削減が可能となることからメリットをもたらす。例えばハパックロイドの4800TEUクラスのHHIで建造したコンテナ船は、従来の9〜10シリンダのエンジンに代えて短い長さの7K98MCを採用することにより、価値のあるスペースを確保した。

10,000TEUコンテナ船用エンジンとしては、1]2台のMAN B&W又はSulzerの大ボア低速エンジン(2軸)、又は、2]80MWを吸収できる固定ピッチプロペラがあることを前提として、980mmボアのV14又はV16シリンダエンジン1台が想定される。

 

(5) 空間節約型エンジン(ボア径600mmのSulzerエンジン)

低速エンジン分野におけるWartsila NSDの競争力は、コンパクトなボア径600mmシリーズ(高速貨物船をターゲット)の2000年の発表によりさらに強化された。この新RTA60Cデザイン(出力範囲8.25-18.8MW、回転数91-114回転/分)は、同出力の他のエンジンに比べて、長さが短く、重量が軽いことに加え、信頼性が高まり、オーバーホールの間隔(TBO)が延びた。また、このデザインは、カムシャフトと各シリンダ毎の燃料ポンプがなく完全に電子制御されるRT-flexシステムにスムーズに改良できるように考慮されている。

 

2.4 ストロークディーゼルエンジン

4ストローク中速エンジンは、以下のような特徴があり、新デザインや既存モデルのアップグレードにより、小型船のみならずクルーズ船、RoPaxフェリー、RoRo船等より大きな特殊船における地位も維持している。さらに、今日では、より大きなボアサイズのデザインにより、これまで2ストロークエンジンが独占していたバルクキャリア、コンテナ船、タンカー等の貨物船の主流市場をもターゲットとしている。

 

4ストローク中速エンジンの特徴

・コンパクトさ

・軽量

・貨物容量の増大機会を設計者に提供

・新造船プロジェクトへの低コストの提供

・減速歯車を通しての最適プロペラスピードの実現

 

現在、より長いストロークの新世代中速エンジンのメリット(必要出力を満たし、コンパクトさ、信頼性、メンテナンスの減少、容易なサービスを実現するために、より少ないシリンダ数で高出力を確保する)について設計者達は議論している。

以下に製造メーカーを中心とした動向を述べる。

 

 

 

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