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・米国国内クルーズ需要創出が阻害されていることによる損失、特に米国港湾の観光収入の損失

・農業、畜産、製造業者等が被る不公正なコスト増

 

(保護の対象)

また、ジョーンズ・アクトに代表される内航保護制度が保護している対象は、概ね以下の3点に絞ることができよう。

○米国人所有、米国籍

○米国人船員配乗

○米国内建造(改造、修理も含む)

 

2. 米国内建造要件に関するこれまでの経過

 

長年にわたり、特にこの数年は顕著に、ジョーンズ・アクト規制の緩和の努力が続けられてきたにもかかわらず、内航保護制度が改革される兆しは全く見られない。ここでは、内航保護制度が保護している対象のうち、米国内建造要件について、これまでの経過をまとめておく。

 

(認められた例外的免除)

最近、ハワイ航路で外国建造旅客船の運航が認められた事例は例外中の例外であり、これが普遍的な措置となるとは考えられない。現に、マッケイン上院議員等が提出した、一定の条件を満たした米国船社に外国建造旅客船の内航運航を認める法案は、第106議会の上院通商・科学・運輸委員会で可決されたにもかかわらず、上院本会議には上程されることもなく廃案となる見込みである。ハワイ航路の例は、インガルス造船が特定の米国船社から建造契約を受注できるようにするため講じられた特別の例であり、この特例免除がなければ、この船社はインガルスも含めて、新造船を発注しなかったであろうことは間違いない。

 

 

 

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