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5-4 COGSA/ジョーンズ・アクト、その他

2000年中に1936年海上貨物輸送法(1936 Carriage of Goods by Sea Act: COGSA)が改正されることを米国中の荷主、キャリア、海事法関係者等が期待している。米国海事法協会は1992年以来本法案の改正のためのロビー活動を進めてきたが、上院通商・科学・運輸委員会海陸交通商船小委員長ハッチンソン上院議員が1999年11月にCOGSA改正法案を2000年度審議の最重要法案とすると明言したため、にわかに関係者の関心は高まった。

 

COGSAは海上貨物の損傷に関する責任額について規定した法律であるが、1936年という海上交通の安全性が未確立でコンテナ船等も導入される前の法律であり、現行の実情と合わないものとなっており、かねてから海運関係者から改正が望まれていた。

海運関係者から支持を受けている米国海事法協会のCOGSA改正案の原稿には下記4点の主要改正点が盛り込まれている。キャリアの荷当たりの責任限度額を1936年の500ドルから約2倍に引き上げ、キャリアが責任を回避するために用いることのできる自己弁護のための原因リストを減らして、荷主の海上貨物輸送を有利にしようとしている。

 

* 不注意な航海或いは船舶の不当処置が原因する責任に対するキャリアの自己弁護項目「航海の過失(errors of navigation)」をリストから削除。

* 1936年法では貨物の港から港への輸送についてのみしか規定していないが現今のインターモーダル時代に適するようにドア・ツー・ドアの輸送についての規定に改めさらにステベドア、フォワーダー、荷集貨業者にも管理下にある間の責任を分担させる。

* キャリアの荷当たりの責任限度額を1936年の500ドルから約2倍に引き上げる。荷主はその荷が高価な場合はさらに限度額を上げさせることができるが、キャリアがリスク回避のためレートを高くするので、荷主は高価な荷の場合も限度額を上げないのが普通である。

* 貨物に対する争いを米国以外の法廷で争ったり仲裁に持ち込むことを許した1995年の最高裁の決定を無効にする。米国の海運会社や海事法律家は国外で争うことの不利性を強調している。

 

前述のようにCOGSA改正案は大方の海事関係者の望むところであるが全ての人々が賛成しているわけではない。

 

 

 

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