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クリントンは従来のジェファーソン主義からハミルトン主義に転換することを内外に表明し、就任後間もなく第3表に示すような科学技術の6大施策を発表したが、これは米国製造業の復権と世界市場における競争力の回復を目的としたものであった。

 

第3表 クリントンの科学技術政策

出典:オートファクト '93キーノート

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この6大施策を受けて大統領の科学技術補佐官Dr.John H.Gibbonsは米国製造業の変身なくしては世界市場における競争力の回復は出来ないとして、変身するための具体的施策を次の6項目にまとめている。この中で、特に軍事技術の民間産業への移転と民間産業との協力を強力に実施すべきことを第1施策として取り上げていることが注目される。

* デュアル・テクノロジーの推進

防衛や航空宇宙産業の軍事技術の民間産業への移行と民間産業技術との協調(産・官・学三位一体)

* 情報スーパー・ハイウエイの構築

情報システムを利用したクイック・レスポンスの出来るコミュニケーション・システム

* 新製品開発のためのデザイン・マネージメント

* 教育訓練の推進による人材育成

* チーム主体の水平型組織作り

* 成功の鍵はチーミング(Teaming)やチームワーク(Team Work)にある。

 

上記の施策は順次具体化され、財政黒字と好況の長期持続をもたらしたことは前述のとおりであるが、クリントン政権は第2期に入り1990年以降の過度の軍事予算縮小に対して若干の危惧を抱くようになった。

 

 

 

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