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以下に、最終的に船舶建造契約の受注にまで至ったチームアップの事例のうち、代表的な事例2件について記することとする。

 

(1) インガルス造船によるクルーズ船の受注

1994会計年度のMARITECHプロジェクトとして、インガルス造船が主契約者となり、クルーズ船の基本設計・建造計画・市場分析のための研究開発を行った。同社は最近のクルーズ船建造実績がないため、豊富な建造実績を有するフィンヤーズ(フィンランド)及びクルーズ船設計の実績のあるデルタマリン(同)が設計チームに参画し、国際クルーズ協会(Cruise Lines International Association)及び民間企業3社がこれを支援した。214万ドルの研究開発費のうち、110万ドルを連邦政府が負担した。

そもそも本研究開発プロジェクトの当初のターゲットはディズニーによるクルーズ船建造計画であったが、当該船の建造契約スケジュールに間に合わなかったため、受注には至らなかった。MARITECHにより開発された設計は、その後、ロイヤル・カリビアン・クルーズ・ラインとのチームアップにより改良が加えられた。

1999年3月9日に、インガルス造船はアメリカン・クラッシック・ボイエージ社(AMCV)(イリノイ州シカゴ)とハワイ航路向け大型内航クルーズ船2隻の建造契約を締結した。当該クルーズ船は72,000GT、全長840フィート、旅客定員1900人で、米国建造のクルーズ船としては最大のものである。また、米国で大型クルーズ船が建造されるのは、インガルス造船が1958年に建造したSS BRASIL及びSS ARGENTINA以来、40年余ぶりのことである。2隻の船価は8億8,000万ドルとされているが、契約にはさらに1隻のオプションが添付されており、建造船価総計は最終的には14億ドル相当となる可能性がある。1999年4月には、当該プロジェクトに対するタイトルXI融資保証についてMarAdの承認が下りている。第1船は2000年に建造開始の予定であり、2003年初めにはハワイ島嶼間航路に投入されることとなっている。

 

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