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3-2 商船部門におけるチームアップ及び提携

 

商船建造プロジェクトに関して、米国造船事業者が他の米国企業又は外国企業とチームアップ及び提携を行った事例は多数存在するが、最近の事例のほとんどは官民共同出資の造船研究開発プログラムMARITECHを介したものとなっている。

MARITECHは、1993年米国造船・造船所転換法に基づき、クリントン行政府が策定した米国造船業支援策(National Shipbuilding Initiative)により、米国造船業の商船市場における競争力強化と造船産業基盤の維持を図る目的で1994〜98会計年度の5年間にわたって実施された研究開発プログラムである。本プログラムにより65件のプロジェクトが実施されたが、ほぼ半数の34件がダブルハル・タンカー、コンテナ船、旅客船/フェリー、高速船等の船舶の設計開発によるものであった。総額3億5,700万ドル(1994-98会計年度)の研究開発コストは連邦政府と参加民間企業がほぼ折半して負担したが、コスト・シェアによる研究開発契約を獲得するためには複数企業からなるチームを形成することが条件となっていた。

このため、米国造船事業者が他の米国企業又は外国企業とチームアップ又は提携して、商船建造に係るMARITECH研究開発プロジェクトを実施する事例が増えたのである。

 

MARITECHによる船舶設計開発のためのチームアップの事例

ミッドフォイル船の設計

ニコルス・ブラザーズ(ワシントン州フリーランド)、ウエストポート・シップヤード(ワシントン州ウエストポート)、パシフィック・マリン(ハワイ州ホノルル)、アート・アンダーソン・アソシエーツ(ワシントン州シアトル)の4社がチームアップして、3種類(80/160/250DWT)のミッドフォイル船の先進概念設計を行った。

 

高速フェリーの設計

グラディング・ハーン(マサチューセッツ州Somerset)、ニコルス・インターナショナル(ワシントン州Whidley Island)、InCatデザイン(豪州)が、国際市場向け高速フェリー設計の開発を行った。

 

ダブルハルタンカーの設計

インガルス造船、メトロ・マシーン(ペンシルベニア州エリー)他十数社が協力し、湾曲プレート技術を利用したVLCC(324,000DWT)及びアフラマックス・タンカー(125,000DWT)の設計開発を行った。

 

LNG船の設計

ニューポート・ニューズ造船、石川島播磨重工業(日本)、エクソン(テキサス州ヒューストン)、シェル・インターナショナル・シッピング(英国)が、競争力のある価格・納期を実現し得るLNG船の最新設計を行った。

 

 

 

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