舶用機器の選定基準は、品質を含んだ価格とこれまでの使用実績である。船舶管理会社はより多くの危険性をはらむ新しい機器を選定することは避ける。船舶管理会社は船主に比べて選択肢が少ない(船主は自らの責任により新しい機器を選択する場合があるが、船舶管理会社はそのようなことはできない。)。
4. 舶用機器のアフターサービス並びに船舶管理会社と舶用機器供給者との情報交換に係るインタビュー結果
4.1 舶用機器供給者のアフターサービスの現状
1) 舶用機器に関する最新情報の入手方法
D社はサービスレター、社報や材料の変更、部品の改善等に関する情報を製造業者からもらっている。また多くのパンフレットも受け取っている。(D社から積極的に収集するというよりは、受け身的な収集か?)いくつかの製造者はD社の経験に興味を示すが、ユーザーとメーカー間の情報のフィードバックがあまりなく、D社はこれを問題と考えている。特にメーカーは様々なユーザーから情報が集まり多くの情報を持っているはずであるが、メーカーはトラブル情報を公開しない傾向にある。
D社はメーカーに関する情報をデータベースにしている。
2) 情報交換の現状
D社が舶用機器供給者にコンタクトするのは、機器の故障等の問題が発生したときのみ。舶用機器供給者は機器に関する問題についてあまり情報を出さない。情報交換は、Eメール、テレックス、ファックス、データベース等により実施している。
D社は、IMPA(International Marine Purchasing Association)のETS(Electronic Trading Standard) Formatに登録をしているが、現在のところ舶用機器の購買に当たりこのフォーマットは使用していない。D社は現在コンピュータシステムの更新を実施中(来年完了予定)であり、来年にはETSフォーマットを使いたいと考えている。
3) 舶用機器の保守整備
a) 工事発注会社
基本的にはD社に登録された主要供給者。ただし、船舶が主要供給者から遠隔の地にあるときは、船舶のいる港の代理店を使う(他の業者に発注する)。
b) 保守整備工事を外注する場合の工事発注会社の選定基準
ISO認定、経験、主要供給者の人間。不適合が発生した場合は、購買記録に記入する。
c) 舶用機器供給者との保守整備契約
D社は、予備品や部品の主要な供給者の登録制度を持っており、主要な供給者については定期的にチェックを実施している。