日本財団 図書館


(2) 船型が大きいほど輸送コストは低くなるが、通常のトラック運賃に対応できるパレット対応型船は、パレット500〜700個積み以上であり、パレット対応型船として499総トン船型で、輸送コスト上競走力は確保出来ると考えられる。

(3) 全国主要の大部分の港にあっては、パレット約800個積みの船舶でもデイリーサービス又は、1日2〜3回の寄港が可能な配船の必要性がある。

従って、499総トン型のパレット対応型船は上記条件が整い、また多品種・多頻度・小口輸送・多極化・多様な流通サービスがデイリーに、定期的に運行される様になれば、一般雑貨に対する物流ニーズに充分対応できると考えられる。

 

2.7 設計検証のまとめ

2.7.1 主寸法及び基本計画計算

(1) 主要寸法等

499総トンをキープしながら、T11型パレット用ラックを有効に配置し、更に船の吃水が2.0m〜3.8mの場合に、岸壁〜海面の高さが1.0m〜5.0mの範囲で荷役可能となる船型を開発するために、線図、重量重心トリム計算、倉内配置、総トン数計算を繰り返し行って主寸法を決定した。

(2) 総トン数

本船は“船舶のトン数の測度に関する法律”の第五条第三項に該当する二層甲板船で、同法施行規則第37条により総トン数を計算し、総トン数を499トンとした。

 

2.7.2 荷役装置性能強度計算

次のことを調査するために、荷役装置の基本的な性能及び強度を下記の通り検証した。

(1) 舷振出し式/引込み式プラットフォーム、パレット受け台を含むエレベーター装置が構造上異常に大きく、又、重くならないことの確認。

(2) 電動機容量が最大となるエレベータ昇降用電動ウインチが本船の発電機容量で充分まかなえることの確認。

(3) 油圧ポンプ容量が最大となる扉引きあげ用ウインチの油圧シリンダーが、動力源を兼用する係船装置と比較して、かけはなれた油圧ポンプ容量とならないことの確認。検証の結果により、機器要目を決定した。その主要目を表1「主要目表」に示す。

 

2.7.3 舷側倉口部FEM構造解析計算

本船は、船体中央部に大きな舷側倉口を設け、上甲板及び船側外板の連続性を失うことから、倉口周辺の過大な応力集中と変位が心配される。そこで、開口部周辺に常識的な補強を行うことで、応力集中と変位を防止出来るかどうかを調べるためにFEM構造解析を行った。

その結果、船体にとって最も苛酷な条件となる満載吃水と、最大ホギング縦曲げモーメントの組合せ状態においても、開口部周辺の最大変位は19.5mm、最大応力(ミーゼス応力値)14.2kg/mm2程度であり問題ないことを確認した。詳絹は、添付図表及び計算書計算書2「舷側倉口部構造解析計算書」による。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION