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(3) SO2共存下での吸着試験結果まとめ

 

共存SO2の影響をとりまとめると以下の通りである。

 

1] 初期における被毒効果は小さく(9%程度)、100%のSO2が吸着される。

2] H2OとSO2両者が共存すると吸着能力は77%程度に低下する。

3] SO2はほぼすべて吸着され、酸化反応生成物(SO3)は生成していない。したがって、システムをうまく構築することでSOxを同時に吸着除去することが可能になれば、硫酸アンモニウム塩の生成によるSCR触媒被毒や配管の腐食が回避できるため、より低温からSCR法が適用可能となる。

4] SO2の吸着力はNOと比較してきわめて強く800℃以上まで脱離しない

5] 繰り返し使用するとSO2の吸着により性能は徐々に劣化するため、水洗等の再生方法あるいは簡便な交換方法の検討が必要である。

 

以上のことからSO2の共存による阻害の程度は極めて深刻であり、実際のシステム運用の際には、できる限りSO2による被毒を低減する必要がある。今回は国内A重油に含まれる硫黄分として最大の1wt%を想定し、200ppmの共存ガスで反応を行ったが、これが0.5%以下の低硫黄重油や特A重油などを用いることでSO2による被毒影響が低減できる。低硫黄レベルであれば前段にSO2の吸着性能をより高めた吸着層を設置し、その部分だけを選択的に頻繁に交換するという方法も考えられる。

また、軽油を燃料とするディーゼル自動車排ガス浄化触媒の開発においても硫黄分の影響は極めて深刻であることが知られており、環境保全技術開発の観点から、燃料中の硫黄分の除去は今後益々重要な技術開発要素である。

 

 

 

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