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4.4 「吸着剤−脱硝触媒」2層式反応によるシステムの有効性の検証

 

(1) 目的

実排ガス試験に先立ち、本システムの有効性を検証する目的で、粉体でのMn2O3・2ZrO2(吸着剤)とV2O5/TiO2触媒(脱硝触媒)とを2層にし、脱硝性能の試験を行った。なお、ここで用いた反応装置は先に3.4章で示した「吸着剤−脱硝触媒」2層触媒反応器を用いて試験を行っている。また、後段で脱硝触媒によりアンモニア選択還元反応を行うに際しては、負荷変動や吸着剤からのNO脱離による反応条件の変化を考慮してする必要がある。したがって、2層反応に先立ち、本システムで必要となる脱硝触媒のSV値の設定を行うことを目的として、調製したV2O5/TiO2触媒を用いて種々の条件下でのアンモニア選択還元反応の効率を検討した。

 

(2) 脱硝触媒性能評価

図4.4-1に300℃におけるV2O5/TiO2(V2O5=1.0%)触媒によるアンモニア選択還元反応を行ったときの供給アンモニア濃度によるNOx除去率の変化を示した。導入するアンモニア量を変化させると速やかにNO除去率が変化し、良い応答性能を示すことがわかる。

また、図4.4-2に示すように、このときの供給アンモニア濃度と除去されたNO濃度は1対1のよい対応を示すことから以下のような反応式で反応が進行していることがわかる。

4NO + 4NH3 +O2 → 4N2 + 6H2O (1)

一方、4.4-3に示すように、本反応を水蒸気比存在下で行った場合には、特に400℃以上の高温域では供給したアンモニア濃度に対し、除去できるNO濃度はかなり低くなる。また、アンモニア濃度が1000ppmの高濃度条件では400℃以上の高温域では水蒸気存在下で若干の効率の低下が見られる。これはアンモニアの酸化反応によりアンモニアが消費されてしまうためであると思われる。

これらの結果から、本触媒はアンモニア濃度が700ppm以下の条件下では、すべての温度域でNOとアンモニアを1対1で高選択的に反応させることができることがわかる。

 

 

 

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