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図2.2-1に示すように、従来型のアンモニア脱硝用触媒では、触媒が有効に作用する温度が300℃以上であり、現状の技術開発の事例では触媒温度が300℃以上に達してから還元剤の噴射を開始している。300℃以下の温度では全く脱硝を行っていない。したがって、触媒層の温度が低い始動時、停泊中、あるいは離岸してすぐに港湾中を運航している時には、図2.2-2に示すように高濃度のNOxが排出されることになる。これが、最近の港湾付近の大気中のNOx濃度の増加の一因と考えられる。

 また、環境省の調査によれば、東京湾において船舶から発生する大気汚染物質はSOxについては約55%が、NOxについては約62%が停泊中に発生していると推計されている。(図2.2-3)

そこで、本研究では従来型の脱硝触媒の課題点である出港時に有効に機能する新しい脱硝触媒システムを開発する。具体的には、従来システムでは出港時のエンジン機関の低温時に多量に排出してしまう窒素酸化物について、その排出濃度をシステムとして低減させることを目的とする。

 

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図2.2-2 船舶の運行状態と脱硝触媒の有効な範囲

 

 

 

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