5・5・1 急速圧縮膨張装置の概要
急速圧縮膨張装置本体を図5・16、図5・17に示す。急速圧縮膨張装置は、燃焼室に観察窓を取り付け、エンジンの燃焼を1回だけ再現して、その時の燃焼経過の高速度写真撮影を可能としたものである。試験に使用した急速圧縮膨張装置は、実機と同じピストン速度(回転数)が得られることが大きな特徴で、シリンダ径、燃焼室形状および圧縮終了時の空気温度、圧力を実機と同じに設定することにより、実機に極めて近い燃焼を再現することができる。この時の燃焼経過を高速度写真撮影し、観察することにより、燃料の分布、着火時期、着火位置、燃料噴霧・火炎の発達、ガス流動、壁面との干渉など、実機試験では得られない燃焼室内の情報を得ることができる。燃焼写真の詳細な観察・検討により、実機における燃焼室設計の指針を得ることができる。
5・5・2 燃焼室形状
試験に使用した燃焼室の仕様を表5・4に、形状を図5・18にそれぞれ示す。観察窓の取付けによる改造・変更を除いて、燃焼室形状は前章で述べた実機の形状を再現している。