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この仕様における副室内の混合気の形成位置と連絡口との位置関係、副室の空気流動、絞り損失、噴射系との関係など燃焼に及ぼす相互関係を詳細に検討することによって、低NOx、高熱効率を達成できる燃焼系を構築できるものと考えられる。

(3) 運転後の燃焼室状況

約30時間廃食用油で運転した後のピストンクラウンの状況を図5・15に示す。ピストンクラウンには薄いすすの付着が一部に認められるものの、付着物は非常に少なく、図5・15に示すように、燃焼室壁面は非常に“乾いた”状態になっている。廃食用油では沸点の高い成分を多く含むため、未燃の燃料が燃焼しきれずに燃焼室壁面に付着・残留し、最終的に運転不可能となることが懸念されるが、遮熱エンジンでは生燃料の壁面付着は観察されず、また長時間の運転も可能であった。これは、エンジンの遮熱によって燃焼室壁面が高温になったため、未燃の燃料や火炎が燃焼室壁に接触しても付着した燃料は速やかに蒸発・燃焼し、あるいは一旦すすとなって付着しても焼ききれるためと考えられる。

 

5・4・3 まとめ

(1) 遮熱エンジンにおいて廃食用油を燃料としてそのまま使用可能である

(2) 性能は軽油とほぼ同等である。

(3) 廃食用油ではスモークは軽油に比べて約40〜50%、NOxは約20%低減した

(4) 低NOx、高熱効率を達成する燃焼系構築のための指針が得られた

 

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図5・15 約30h運転後のピストンクラウンの状況

 

 

 

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