5・3に示す燃焼コンセプトに基づき、副室はシリンダ中央に配置し、多連絡口とし、その向きを放射状にシリンダ壁に向けている。燃料噴射ノズルは副室の上部に置き、噴射した燃料が連絡口付近で空気と混合し、早期に主室に噴出するような燃焼を達成するため、ノズルの形式はホールノズルとし、種々のノズルを交換することにより、噴射系および噴射方向の影響について試験できるようにしている。また、燃焼はスワール、スキッシュなどの空気流動に大きく影響されるので、種々の燃焼室形状を試験できるように副室、主室とも容易に交換できるようにしている。
5・4・2 単気筒エンジンの試験結果
試験を行った試験条件を表5・3、噴射方向を図5・7にそれぞれ示す。試験は廃食用油と軽油について行い、その他はすべて同一である。吸気圧、排気圧は加給を考慮して標準的な圧力値を設定した。なお、燃料流量は、表5・3に示すように4/4負荷相当に設定したが、1サイクル当たりの投入熱量は廃食用油より軽油の方が約10%大きくなっている。
(1) 廃食用油を燃料としたエンジンの性能と燃焼経過
試作した単気筒エンジンにおいて、廃食用油を燃料として運転し、全負荷まで運転が可能であった。このときの噴射時期に対する図示平均有効圧、図示熱効率を図5・8に示す。図示平均有効圧については全般的に軽油の方が高くなっているが、これは試験を行った時のサイクル当たりの投入発熱量が軽油の方が約10%程大きいためである。