日本財団 図書館


ところで、日韓の舶用製品競争力は、局面により変化するものと考えられる。図は、日韓舶用製品競争力のライフサイクルを描いたものである。日本の対韓国競争力は、次に示すように、韓国の国産化進展、生産規模拡大、生産経験蓄積等に従って、A→B→Cと次第に優位性が低下する方向で変遷すると考えられる。

 

A 韓国の生産基盤が弱く、輸入品への依存度が高い。純輸出比率がプラスであるのみならず、韓国の新造船建造量増加により、日本からの輸出も増えている。日本の競争力は、韓国を大きく上回る。

B 韓国の生産基盤が整備されつつある。韓国の国内需要は、輸入品から国産品に代替されてきている(輸入代替)。純輸出比率は、依然プラスで、日本の出超となっているものの、韓国の新造船建造量増加にも拘わらず、日本からの輸出は、減少している。Aに比べ、韓国の競争力は上昇している。

C 日韓貿易は日本が入超となっており、もはや競争力は韓国が日本を上回っている。

 

現在のところ、多くの舶用製品がAに位置しており、依然として日本の舶用製品競争力は韓国を上回っている。しかしながら、製品によってはAとBの中間、ないしはBに位置しているほか、技術集約度が低い艤装品や、韓国が集中的に国産化に取り組んできた大型エンジン(特に、VLCC用、大型コンテナ船用)はCに位置している。特に、Aに属する製品数は減少していると考えられ、この間の韓国の舶用機器国産化政策が効果を上げていると見ることができる。韓国の新造船市場が好調な間は、韓国製品の輸出圧力がそれほど強まらないと考えられるが、世界の新造船市場の低迷により韓国国内の新造船市場が縮小した場合、既に納入実績を積んだ韓国の舶用製品が低価格を武器に輸出ドライブをかける可能性もある。その場合は、セルB、セルCに製品が移行することも考えられる。

このような中、日韓の舶用機器貿易は、従来のような日本の一方的な出超状態から、徐々に水平分業のかたちへ移行してくるものと考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION