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・日野町には氏郷の残した資源があるが、点在するばかりで線とならない。つながりをもたすためには町並み・景観が大切。総合的なまちづくりを考えたい。

・この会が活性化への起爆剤となればと思う。住民の盛り上げも大事で、ボランティア的にアイディアを出し合いながら、実践していきたい。

・友人から日野は良い町だと言われた。外からみると落ち着いた良い町なんだと思うが、この町を見直すよい機会となる。

・家の軒にトラックが当たり、このまま何年か経てばどうなるのだろう、つぶれるのかなと。しかし、このままでいいのだろうかと考えた。

・地元に住んでいると日野の良さが分からない。外からの人に教えてもらいながら、最近日野の良さがやっと分かってきた。町並み保存の動きがあるのがうれしい。

・住んでいる家が古い文献に載っており、当時のままの姿だと分かる。古い家を残していくことはいいのかなと、町並みに対して興味が出てきた。

・以上のように、歴史的なまちづくりに取り組むことが遅かったという意見とともに、今からでも真剣に取り組んでいこうという貴重な意見が多く寄せられた。

 

(2) 事例の検討

1) 先進事例から学ぶこと

1] まちづくりは歴史的資源の価値の認識から始まる

既出の文化庁調査によると、20年前の調査時点で歴史的町並みとして把握していた地区は、715地区であったものが、平成9年度のアンケート調査では1,017地区に増加している。全国的に歴史的町並みが物理的には滅失しているに係わらず、逆に歴史的町並みとして認識されてい髏狽エ増加しているという結果であった。抽出事例でも従来は歴史的価値を認識していなかったとする例が多く、まちづくりは地域の歴史・文化資源の価値が住民・行政において認識されることが出発点と言え、日野町においても地域住民の歴史的資源の価値の認識が最も重要であると言える。

2] 遺存度は大きな問題ではない

今をときめく滋賀県長浜市の黒壁を中心とするまちづくりも、出発当初は遺存度も悪く、商店街も閑古鳥が鳴く状態であった。歴史・文化資源の遺存度・集積度は重要なファクターではあるが、それぞれの状況に応じてのまちづくりが進められており、決定的な問題ではない。日野町の場合は、他地区に比べて広い範囲の歴史的町並みを持ち、さらに周辺地域に多くの歴史的資源を有している。

3] 住民の自主的なまちづくりの重要性

事例で行政主導とされている場合も住民の自主的なまちづくりと連動しているものが多い。特に、地域の活性化と結びついているものは、地元の自主的なまちづくりがベースとなっている。特に、商店街の活性化と結び付ける努力は、どの事例でも苦慮していることであるが、様々なイベントを住民の自主的活動で組み立てている例が多く、日野町で最も望まれる事といえよう。

4] まちづくりは分かりやすいテーマで

最も重要なまちづくりのテーマでは一つの建物の保存運動、一つのイベントの取組等から始まる例が多く、分かりやすく住民の力を結集できるテーマの選択が重要である。そのテーマに向かって住民が結集する「しかけ」が最も重要であると考えられる。

 

 

 

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