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第5章 ワークショップとフォーラム

 

5-1 平成11年度のワークショップのまとめ

 

(1) 「日野の町並みと景観を考える会」の発足

1] ワークショップの模様

日野町は、武将蒲生氏の城下町として発展し、江戸時代には天秤棒を肩に全国各地を行商した近江・日野商人の発祥地でもある。城下町当時の町割が残り、塀には桟敷窓、格子などが商人の暮らしを今に伝えている。しかし今日、この日野らしさを伝えるものが失われつつある。そこで住民たちが「もう一度、日野町の町並みを見つめなおし、景観を考えることからはじめてみよう。住民と行政と協同でこれから日野のまちづくりを進めよう。」と町の呼掛けにより、参加者を公募し、「日野の町並みと景観を考える会」が発足した。

平成11年11月26日の発足会には会員20数名のうち17人の参加があり、まず行政事務局の日野町産業経済課から、「住民と行政、専門家と一体となって日野町の町並み・景観を考えていきたい。話し合いながら一歩ずつでも進めていければと思う。考える会は皆で車座になって語らえる場となり、住民の輪が広がるようなものとしていきたい。」と会の発足趣旨の説明を行った。参加者の紹介のあと座長に谷口忠臣さん、副座長に岡さんと奥本さんが選ばれ、谷口座長から、「町並み・景観にこんなに多くの方が興味を持って参加され、こういう時期にこそ住民が考えるまちづくりが大切だと思います。」とあいさつがあった。

 

2] 町並みに寄せる思い

調査の目的・進め方の説明、及び歴史的資産を活かしたまちづくりの各地の事例紹介のあと、メンバーそれぞれから、日野の町並みへの思い、考える会への期待などを語りあった。その概要は次の通りである。

・調査の進め方としては、分かりやすいテーマからはじめて、視野を広げていきたい。

・会には関心と好奇心をもって参加した。日野の町並みから波及して日野町全体で考えたい。

・町内には歴史的な資産が残っている。それらの掘り起こしをしていきたい。

・曳山が通る時には、この町に住んで良かったと思うが、それ以外は忘れられた町になっている。せっかく頂いた財産と思い、まちづくりに活かしたい。

・考える会ではテーマを決めて一つずつ考えていきたい。

・日野は桟敷窓の町並みという印象。日野の景観はこれからどういう方向にいくのかを考える機会となる。

・日野町に住みながら町を歩かない。行ったことのないところもある。町並みはこの数年で随分変わっているが、会の参加を通じて何かお役にたてばと思う。

・近江商人の町として他町はがんばっているが、日野は何をしているのか。住んでいながら自分自身の町をよく分かっていない。町を知って何ができるか考えたい。

・日野町は歴史的にも重要なところである。鉄砲などの先端の技術があり、また商業の町でもある。どの時代をもって日野の景観とするのか、皆で考えることも大切。

・町並みと景観を考えようというのは自分の生き方の本質にはいってくるもの。自分のまちと暮らし方、景色を考えるというので参加した。

・多くの観光客が町並みを訪れるが、地元住民の方々の町並みに対する意見が伝わってこない。町の方の意見を聞きたいと思う。

 

 

 

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