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(6) 柿田川

国道1号線が箱根山を下り三島市を抜けて、沼津市の手前に清水町があり、柿田川は清水町の国道1号線のすぐ南で、湧水が水源となって生まれ、狩野川に合流するまで、1.2kmを流れる。

三島の楽寿園の小浜池と異なり、溶岩が近くに露出していない。国道1号線北側の清水町運動公園のボーリング調査によって、地質が明らかにされている。

地表〜25m 沖積層の砂礫層。深度23mの深さのところに天城山の寄生火山カワゴ平の3,000年前の軽石層

25〜70m 10層の三島溶岩

70m〜 沖積の砂礫層

柿田川は、水源から下流300mにわたって、川底の湧出口から湧水が沖積層やカワゴ平の軽石層を突き破って、湧き出している。その湧出量は、昭和30年代には、川底の30カ所にのぼる湧出口から150万〜100万m3/日とされていた。現在、湧出量は120万〜80万m3/日と言われている。平均水温は年間を通じ、ほぼ15℃である。

湧水量のピークは11月と6月頃の年2回で、3月頃が最少となる。

柿田川の右岸には清水町・沼津市の取水施設がある。ここには深さ39m、口径450mm、自噴量2万トン/日の井戸2本と、深さ30m、口径450mm、自噴量1万トン/日の井戸5本があり、場内の池で4万トン/日が自噴している。余剰水は柿田川に放流している。その下流には静岡県企業庁の取水施設があり水道水、工業用水として20万トン/日の取水がおこなわれている。

 

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酸素同位体比δ18は-8.5パミールを示し、現位置より高度1,000m高いところで涵養された水といわれる。トリチウム濃度は4〜4.5TUで、ほぼ10〜20年前に涵養された水と考えられる。

 

5 富士山南斜面の地下水

南斜面では、古富士泥流が大部分の地域で難透水層の役割を果たしている。泥流堆積物の上に谷が形成され、その凹地に溶岩が流入し、重なっている。富士宮市の万野原、鷹岡町の厚原のように溶岩流の上に扇状地性の砂礫層が広がっているところもあり、地下水は山体上部からの水と共に、直上の扇状地の降水をも浸透吸収し、溶岩流の基底に沿って流れをつくっている。標高300m以下のところで湧水が一直線上に並び、泥流堆積物の上に重なる溶岩あるいはロームの基底から湧出している。湧水の他、深さ数mの浅井戸も利用されている。

潤井川に沿った入山瀬断層の東側では西側に比べ溶岩流が厚く、地下水も深い。地下水は標高100m以上の所では、脈状で、100m以下の所では層状に流動していると推定される。富士宮市浅間神社から富十市吉原に至る約4kmでは湧泉として湧出しているところが多い。富士宮市の西、青見付近では、かつて10カ所あまりの養鱒場が2m3/秒の湧泉を使っていたが1962年以来、工場にに買収された。

 

 

 

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