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特に常在糸状虫はミクロフィラリア陽性者全員が陽性であった。また、マラリア原虫陽性者は昨年度が119名中65名(54.6%)、本年度が73名中59名(80.8%)であり、熱帯熱マラリア原虫陽性者は昨年度40名(33.6%)、本年度37名(50.7%)、四日熱マラリア原虫陽性者は昨年度45名(37.8%)、本年度46名(63.0%)両種混合感染者は昨年度20名(16.8%)、本年度24名(32.9%)であり、本年度は卵形マラリア原虫陽性者は検出されなかった。以上のごとくケラ・セルジャン村では糸状虫は、常在糸状虫とロア糸状虫はほとんど同じに感染していたが、バンザ村では常在糸状虫感染者が多く、マラリアではケラ・セルジャン村、バンザ村とも四日熱マラリア原虫感染者の方が、やや多かった。

なお、ケラ・セルジャン村を始め、バンザ村およびウワンゴ診療所でも新しい受診者が増えているにも拘わらず、寄生虫の陽性率の極端な増加がみられないのは、住民に対する衛生教育とともにこれまで現地の検査技師に検査技術の移転を行った成果であると思われる。このように現地の看護士および検査技師が独自に寄生虫の検査、診断が出来るのようになり、また、衛生士が衛生教育の手法を会得したのは、継続されている笹川記念保健協力財団の寄生虫対策調査が徐々にではあるが効果を現わしているからだと判断される。しかし、中央アフリカ共和国の経済破綻により慢性的な薬剤不足と医療従事者に対する給料遅配の問題があるので、今後は現地で調達出来る生薬など植物から抽出する薬剤の検討も必要ではないかと思われる。ただ疫学的にみても当分の間はこれらの検討と並行して、笹川記念保健協力財団の調査団による検診および治療も継続することが必要であると考えられる。

今回は特にkm24のデレバマにあるハンセン病診療所を訪問し、WHOを通じて日本財団が現地に供与しているMDTなどの薬剤の確認を行った。1999年の患者数が850、1998年の新患が502という報告は正しく、新患の診断は一般診療所からの届けにより、ハンセン病診療所の医師または看護士が行っているとのことであった。現在このkm24の診療所には5名の患者がMBの投薬を受けながら入院しているとのことであった。なおWHOを通じて供与されたMB成人用42,000パック、小児用2,100パック、PB成人用46,500パック、小児用4,400パックは使用記録もちゃんととられており、診療所のナムボキーナ所長からも謝意が表された。

 

【本年度の供与機材薬品】

本年度は従来と同様に顕微鏡、遠心器などの検査用機材および薬品を日本で購入して別送した。これらの別送機材および現地で購入した薬剤は、今回の調査で使用した後に現地中央アフリカ政府の保健省に供与した。

 

 

 

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