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国際保健協力フィールドワーク・フェローシップに参加して

青木尚子(帝京大学医学部6年)

 

「開発途上国で働く道を探す」これが私のフェローシップ応募の主たる動機でした。私は以前、NGOとして東ティモールで活動する医療チームに参加したことがあり、これをきっかけに将来開発途上国で働きたいと強く願うようになりました。人々の中で働くことで人々から与えられる幸せをただ享受して生きていきたいと感じたからでした。しかし、このボランティア活動の中で医師として貢献できることの限界を感じたのも事実でした。では、どうすれば納得のいく貢献ができるのであろうか?その答えがフェローシップにあるのではないかと考え、今回参加させて頂きました。

フィールドワークから教えられたこと、それは公衆衛生学的アプローチの必要性でした。問題解決におけるプライマリーヘルスケアの実践。病院プロジェクトなど、外国人の臨床医を必要とする時代は終わりを告げており、もはや必要とされていない現実でした。国の、住民の「自助努力」をいかにサポートするか、それが国際保健協力の本質であると痛感しました。臨床医として開発途上国で働き、幸せであればそれでいいと考えていた自分の甘さを恥かしくさえ感じました。

それでは、臨床医ではなく、公衆衛生の専門家として働く道を選ぶべきか?開発途上国で働きたいなら、もちろん選ぶべきだと感じました。では、自分は臨床医でなくして働けるのか?6年間、臨床医に成るべく勉強してきた私には大きく疑問の残るところです。どうしたら、自分で納得のいく将来を迎えられるのか。「自分で苦労して自分の道を見つけること」Dr. バルアの言葉が忘れられません。フェローシップを通して、WHO、JICA、NGOに到るまで、フィリピンヘの多様なアプローチがあることを知りました。また、そこで働く人々の様々な考え方を知ることができました。同じ志を持つ友人と知り合うことができたのも大きな収穫です。今回の貴重な経験を活かし、卒後何年かかるかわかりませんが、自分の道を苦しみながら、悩みながら探していこうと考えています。

最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださった方々に、深く感謝致します。

 

 

 

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