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おわりに

 

「国際人」の育成が叫ばれる昨今であるが、私達日本人は一体どのような「国際人」を目指しているのだろうか。

今回のフェローシップでは、14名の学生がフィリピンにいくことが出来た。フィリピンの暑く、強い日差しの下で生活している人々の表情は様々だった。出会った多くの人々はそれぞれ問題を抱えてはいるのだろうが、それぞれの環境の中で精一杯楽しく日々を過ごしているように見えた。そして、WHOやフィリピンの保健医療向上のために働いている人々に共通して「この仕事が好きだから活動している」という印象を受けた。国内研修、国外研修ともにこれまで出会えなかった多くの人々に会い、お話を伺うことができた。

葛藤の無い世界においては違いを違いとして認め合うことはできても、そうではない世界においては難しい。宗教や文化などは様々、異文化摩擦はあって当然という現実の中で、どう解決していくかに立ち向かい、問題解決をしていく能力に満ち溢れる人々に出会えたことは将来の姿を模索している私たちに多大な影響を与えたように思う。

私たちは、まず国内研修会で国際医療に関する知識のシャワーを浴びた。そのときまでの個人の先入観や偏見を正し、新たな知識、視点を与えられてからフィリピンに向かえたことに感謝している。特にハンセン病について社会的、臨床的な知識等を学ぶ機会は少なく、貴重な体験となった。現実をみて、患者とその周りの人々の幸せとは何かを自分の頭で考え、修正しつづける勇気と謙虚な気持ちを大切にしていきたいと思う。

私たちは国内研修の時から一貫してミーティングを大切にし、知識のフィードバックと意見交換を行い続けた。最初は意見がまとまらなかったり、進行の仕方などの理由により時間がかかりすぎ、ストレスや体調を崩す原因にもなっていたが、チームとしてまとまっていく上で必要だったと思う。ミーティングでは様々な意見や、考え方を持った人同士が集まることでいろんなことを吸収しあえたと思う。このような経験ができたことが本当にいい財産になったと思う。

熊本大学医学部4年 岡村直樹

 

今回のメンバー14人のうち実際に国際医療の分野に携わり、活動していくようになるのは、せいぜい1、2人かもしれない。しかし、このフェローシップの意義は国際医療の種を日本各地に蒔いていくことだと思う。自分が活動する、活動する人が活動しやすい環境をつくる、国際医療の意義を伝える、その他様々な思いを抱いた研修となった。

最後に、私達のために貴重な時間を割いてくださったWHO、JICA、フィリピン保健省(DOH)、NGOのスタッフ、国立療養所多磨全生園の皆さん、私達の自主性を尊重しながら適切なアドバイスを与えてくださったバルア先生、永井先生、その他お世話になりました多くの方々に対し心から感謝申し上げます。

サブリーダー 弘前大学医学部4年 堀内智子

 

 

 

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