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◎インタビュー

オペラ「ちゃんちき」を語る

 

お話=團伊玖磨

 

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―今回上演されるオペラ「ちゃんちき」は、1975年に作曲された團さんの5作目のオペラです。まず、このオペラについて伺いたいと思います。

團 「ちゃんちき」の大きな特徴は、名古屋弁です。実際には名古屋から少し岐阜に寄ったところの方言だそうです。日本語というものは、昔の長い歴史を背負っています。つまり古事記や日本書紀に出てくるような万葉の言葉、それから平安の言葉、そして地方ごとに方言というものが非常に発達しました。鹿児島の人と青森の人が方言で話したら通じないというぐらいに多岐にわたっているわけです。中部の名古屋の言葉というのは、関西弁でもなく関東弁でもない面白いイントネーションが多いので、それにまず着目いたしました。

本来この脚本は、水木洋子さんによって日本舞踊のために書かれました。日本舞踊ですが言葉があるわけですから、オペラ的な発想で作曲したわけです。そして作曲しながら、これをやはりオペラに仕上げたいと思ったのです。ただ、日本舞踊の場合と違って、脚本自体を大手術しなければならなかったので、随分時間がかかりました。途中「ひかりごけ」の作曲が入ったり、ずいぶん時間をかけた作品でした。

 

 

 

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