事例14
通勤災害―後遺症―うつ状態から自殺に至った事例
38歳、男、小学校教師
すでにかなり経験のある中堅教師として勤務。これまでに、身体的にも精神的にも特に大きな病気にかかったことはありませんでした。
自宅から約20分バイクで通勤していました。
ある朝、通勤の途上、乗用車と接触事故を起こし、転倒受傷、すぐに救急車で病院へ運ばれ入院しました。
頭蓋内出血、右足骨折、左肋骨骨折、全身打撲などの重傷でしたが、約3ヶ月間の入院加療で生命はとりとめました。
この事故に関しては、相手方の非が大きく、かつ通勤途上であったため、通勤災害として公務災害の扱いとなり、その後、相手方とも一応示談が成立しました。
しかし、重傷であったため、リハビリなどは行ったもののかなりの後遺症が残りました。
右脚は完全にはよくならず、足をひきずるようになり、そのことよりも頭部外傷の後遺症として、記憶力の低下、視力の低下、言葉がスムーズに出て来ない、すぐ疲れるなどめまいがみられました。
自宅でさらに3ケ月間休養しましたが、症状はほぼ固定した状態で、このままでは、ただ家にひきこもっているだけになってしまうので、仕事ができるかどうか自分でも試してみたいと医師に相談しました。すぐには、これ以上の改善は望めないとしても、全く希望がないわけでもないからと、医師も賛成して校長と相談しました。
校長は実際にはかなり困難ではないかと危ぶみましたが、一応本人の希望を入れて教壇に立たせてみることにしました。
もちろんすぐに全面的に復帰というわけにはいきませんから、本人の休職中代わりにみていた教師と交代で授業をし始めてみました。