考察
これは極めて単純な例のようにも見えます。この程度で出勤拒否症がよくなるのかと思われるかもしれません。事実、いろいろと手を尽くしてもなかなか解決しない例も少なくはありません。しかし、このようなちょっとした配慮で、うまくいくこともあります。
この事例の場合、先輩である係長の対応が大変よかったのだと思います。さりげなく食事に誘い、けっして無理に励ましたり、なぐさめたりしない。また、説教めいたことも言わない。本人の話しを聞いて、何とはなしに自分が新人の時の話しをしたことが、本人の共感を呼んで、いい方向に向いたのだと思われます。もちろん、職場の課長や周囲のサポートがあったからでもあります。
職場としては新しく採用された人が、すぐに辞められるのでは、人事配置の上で大変困ることにもなります。一方で新人の扱いはある面でなかなか難しいこともあります。
ただし、ただ甘やかすだけでなく、新人が一人前の職員に育っていくための教育的な配慮や厳しさが必要なことはいうまでもありません。
暖かい目でみることと、反面、職場の厳しさを自覚させること、その両方を合わせたのが本当の意味でのカウンセリング・マインドではないでしょうか。
【参考】
第2巻 4 職場のメンタルヘルスと関係のある症候群など
セ 出勤拒否症
10 一次介入とカウンセリング・マインド
(2) 部下や上司との付き合いについて