いい意味ばかりでなく家族ぐるみの付き合いも多いのが常です。そういう状況の中では、特に上に立つ人の物の考え方や態度など、部下への姿勢が非常に大きく職場の雰囲気に影響するものです。具体的な例はさし控えますが、考えてみれば、海外でなくても職場の雰囲気は上司次第という面はあるでしょう。それが海外勤務の場ではより顕著に出てくるということだということです。
そういう点からも海外生活者に対しては、十分なサポートシステム、相談を受けられる態勢が望まれます。もちろん、前に述べた単身赴任者についても同様のことはいえるわけです。
イ 自殺と自殺予防
自殺という行為は、精神医学的には、その理由は何であれ、異常な行為と考えられています。覚悟の自殺といわれるものもありますが、それはそれとして、自殺というのは個人の自己選択の一つだという見方もあるでしょう。しかし、人間には自己保存の本能、つまり生きていたいという気持ちがあるのが普通で、自殺はこの本能に相反する行為だということになるでしょう。
この数年、警察庁発表の自殺者調査を見ても、自殺者は増加の傾向にあり、中高年の自殺が増えているという報告もあります。その背景にあるものが何であるかは別としても、大きな社会問題化してきています。
自殺事故というのは当然のことながら、家族や職場に単なる悲しみ以上に様々な影響を与える不幸な出来事ということになります。
このごろは、過労自殺とかストレスによる自殺ということを聞きます。間違いというわけではないにしても、多少誤解を招くことがあるような気もします。過労になれば自殺するのかとか、ストレスがたまれば自殺するのかというような、短絡的な考え方はだれもしないとは思いますが、その結果起こってくる心身の不調や場合によっては精神疾患等の発症と自殺事故との関係をよく知っておくことが自殺防止につながることにもなります。
