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本来は単身赴任者の健康管理というのは本人自身の問題によることの方が大きいとは思われますが、少なくとも家族と一緒に生活しているよりはストレスの多い状況にあるという認識を周囲の人がもってあげることも必要なことです。だからといって、別にしょっちゅう食事に誘ってあげなさいとか、一杯飲みに行くのを誘いなさいというようなことではありません。何か困ったこと、分からないことがあったら相談に乗ってあげる。サポートできるような態勢とまでいわなくても、そういう気持ちを示せばいいのでしょうし、特に上司にはこのような姿勢が望まれます。単純なことかもしれませんが、仕事に支障がなければ、年休なども取りやすいような雰囲気ということもあるでしょう。

もっとも、逆説的なことになりますが、結構単身赴任を楽しんでいる人もいるようで、それはそれとして、特に問題にすることはないかもしれませんが、それを含めて、個人個人の適応性の点については、ここではふれません。

現実的な問題としての、二重生活になるため生活費のことや、休日を利用しての帰宅の旅費、電話代がかさむなどという経済的な面についての対応は、単身赴任生活では小さなことではないのですが、カウンセリング・マインドだけでは解決がつきませんから、職場として別の対応を考えてもらうしかないでしょう。

もう一つの問題は、単身赴任者だけでなく、留守をしている家族の方にも、ストレスがあるということです。留守家族の方で相談ごとがあったりしても同居している時のように円滑にいかないということもあるようです。例えば子供が学校のことなどで意見を聞きたいことがあっても、電話とか、たまたまの帰宅の時になるとかなど思うようにいかないことがあったという話も聞きます。

「大変ですね」と一言かけるだけでも違うのではないでしょうか。そして、職場としても、単身赴任にまつわる問題点などについての相談やサポートの対応ができるようになっていれば、いうことはありません。

 

 

 

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