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3] 「進む方向の予測を持てる」ように話し合うこと

Aさんのようなケースの場合、本人が出社しながら治療するのか、それとも治療に専念するのかの判断を総合的に行う必要があります。その場合、主治医には守秘義務がありますから、上司が電話で本人の状況を聞くというやり方は難しいのです。主治医に直接会って、本人の仕事の内容を伝え、上司としてどういう対応をしたらいいかアドバイスを頼むことが大事でしょう。

休養を要するというときには、業務命令的に早めに休ませ、家族にも適宜、定期的に報告してもらい、一体となって回復に努力することが一般的な対応法です。本人に対しては、復帰後の予測ができるような話し合いや説明を行うことが大事です。

以上の3点を行うことによって、この先が八方ふさがりではないことを本人が理解できれば、心身の健康を一日も早く回復したいという意欲がわいてくるはずです。

その後、Aさんは軽いうつ状態ということで、一か月の休みで復帰しました。定期的な通院と服薬を続けられるような勤務体制が組まれ、仕事の負担は上司と本人の話し合いによって軽減されました。それ以外は本人の自尊心を配慮して、いっさい特別扱いはしないというやり方にしました。その後の定期異動で支店に出たあとはまったく問題はないという話です。

 

ケース4 セクシュアル・ハラスメントを防止するためのカウンセリング・マインド

男の上司が部下の女性に、彼女の私生活に言及しつつ、業務上の注意をしました。管理者として必要な指導をしただけと上司は考えていましたが、女性のほうは上司の行為を「セクハラ」だと会社に訴えました。上司にとっては不本意でしたが、今ではその女性から訴訟でも起こされるのではないかと心配で一睡もできなくなったと訴えました。

 

 

 

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