飲酒運航事故のもと
春と秋に多い飲酒運航
季節と飲酒運航の関連を見てみましょう。
次ページのグラフは、海難発生時に操船者が飲酒又は酒気を帯びていたことが海難の調査書より読みとれる海難を月別に集計したものです。意外なことに年末年始を含む冬と夏は少なく、春と秋に多く発生しています。
最近の事故事例
最近の飲酒運航による海難事例は表のとおりです。
飲酒の挙げ句、船橋で眠ってしまい浅瀬に乗り揚げるパターンが最も多くなっていますが、プレジャーボートの場合は事例2、3のように酔った勢いで海に出て…というパターンもあり、対応を難しくしています。
飲酒運航が原因の海難は?
近年、飲酒運航が原因であると判明している海難で、多数の死亡・行方不明者を伴うものは、統計上発生していません。しかし、プレジャーボート等及び漁船の要救助海難の6%(過去10年間の平均)は、船長が海中転落し、船体が無人で漂流しているところを発見される海難ですが、空きビン等が船上で発見されているものもあり、それらについては因果関係の存在が考えられるところです。
飲酒運転を取り締まる法令は?
飲酒運航を取り締まる法律がないことはよく知られているところですが、飲酒運航を禁止する法令が全くないわけではありません。運輸省告示第70号(平成8.12.24)の「航海当直基準」には、「航海当直をすべき職務を有する者が、酒気を帯びていないこと。」という規定があります。しかし、この告示は船員法に基づくものですので、船員法の適用されない、例えば5トン未満の船舶や湖・川・港のみを運行する船舶には適用されません。すなわち、ほとんどのプレジャーボートなどには適用されません。また、適用船舶に対しても罰則はないのです。