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特に台湾では、距離の近さにも恵まれてはいたが、外国からの救助チームとして被災地に一番乗りすると共に、過去最大の100名を超える救助チームを送り出した。また、トルコでは、初めての生存者の救出に成功した。

これらのことから、国際緊急援助を行っている国としては、比較的新しい日本が国際緊急援助の先進国の一つとして数えられるようになってきている。もちろん、スイスやフランスのような国と比較すれば改善すべき点は多く、現在、外務省、警察庁、消防庁、海上保安庁、国際協力事業団の救助チーム関連5省庁により、後方支援、通信、医師等の同行、訓練等の体制整備に向けた協議を行っている。

当庁でも、訓令により国際緊急援助活動実施するための体制を整えているが、このように質量共に変化する国際緊急援助活動に併せ、主要派遣対象要員の増員等の改善を図っている。

今後、当庁の課題として考える必要のある面は、船舶、航空機による国際緊急援助活動等の実施であろう。体制的には主要派遣対象船舶や航空機を指定しているが、実際に派遣された例はない。過去の国際緊急援助活動でも船舶又は航空機を使用した例は、平成3年のバングラデシュのサイクロン災害及び平成9年のインドネシアの森林災害で消防庁のヘリコプターが国際緊急援助活動を、また、平成10年のホンデュラスのハリケーン災害で防衛庁の航空機が、平成11年のトルコの地震災害復興支援で防衛庁の艦船が輸送活動を行っているのみである。

近年、在外邦人の保護活動、海賊事件に伴う捜索活動で当庁の船舶、航空機が海外に派遣される例は増えており、十分とは言えないまでも実績を積んでいる。外務省の職員でも、当庁の迅速な対応を評価している声は多い。国内においても、阪神大震災、有珠山の噴火、伊豆諸島の地震災害等で当庁の船舶、航空機は大活躍をしている。

もちろん、国内における業務や当庁の船舶、航空機の特性から、当庁の船舶、航空機が世界中の災害に対応するのは不可能であるが、例えば、近隣諸国の沿岸部で大規模な災害が発生した場合、当庁の船舶、航空機の有用性は大きい。

海上保安庁としては、これからも国際緊急援助に向けた体制をさらに充実させると共に、船舶、航空機を使用した国際緊急援助活動の実施に備えていく必要があろう。

 

 

 

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