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台湾地震にともなう国際緊急援助隊救助チームに参加して

羽田特殊救難基地

第二特殊救難隊副隊長

虻川浩介

 

平成11年9月21日0147(現地時問)に台湾中部で発生した地震により、台湾各地でビル等が倒壊し、死者行方不明者2千人以上という被害となりました。その被害を最小限に食い止めるよう(被害者救出のため)我々は国際緊急援助隊救助チームの一員として派遣されました。被災現場で活動したわけですが、倒壊ビルでの体験を主に記したいと思います。

日本から実働隊が順に三個隊派遣されましたが、私は二次隊として、海上保安庁からの四名(特救隊二名、巡視船「いすず」潜水士二名)と警察、消防からの派遣隊員とともに日本時間の21日夜、空路台湾へ向かいました。台湾到着と共に徹夜で救助活動にかかることから、台湾までの約四時間は寝て過ごしました。

台湾の被災現場に到着すると、現地の人々が懸命に救出活動してましたが、困難なビルの倒壊現場は手つかずの状態でした。ビルの中に取り残された人を助け出すには、倒壊したビルの部屋を全て検索する必要があり、当然ビルの中に入り込む必要があります。倒壊したビルの特徴として、

1] ビル街の倒壊ビルは、お互い支え合っている状態のままなので、また何かのきっかけで倒れてしまうおそれがある。

2] 倒れていたり斜めになっているだけで、部屋の作りや配置がわけがわからない。(青図と一致しない。)

3] 部屋のドアが開かない。

4] 部屋の壁が天井になっていたり、天井が壁の位置になっている。(部屋の上下がわからない。)

5] 部屋の中の物が低いところに固まっている。(コンセントに電源を差し込んでいる物は、コンセントだけでぶら下がっている物もあった。)

等と、いろいろありますが、このような状況は転覆船の状態とよく似ていると思います。

 

 

 

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