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国際緊急援助隊派遣を終えて

羽田特殊救難基地

第三特殊救難隊長

古谷健太郎

 

1. 出発に際して

情報を入手したのは午後4時頃であった。30分弱のランニングを終え、スポーツドリンクを取りに庁舎に入ると専門官が何やら難しい顔をして電話をしているのが見えた。私は「何かあったな。」と直感的に感じ、話が終わるのを待った。専門官は電話を切ると私に「トルコで大規模な地震が発生したらしい。緊急援助隊の派遣要請について確認している。」と告げた。

私が以前リーダー研修を受けた際「派遣の決定に当たり問題となるのが相手国からのオファーである。」ということを聞いていたので、「オファーがあると、ほぼ、出動すると考えて良いな。」と思い、出動に備え人選、器材選定を行った。

携行器材、私物については前回のエジプト派遣の資料を基に決定した。今回は大地震であり期問がどの程度になるか予想がつかないないこと、町全体が倒壊し夜間は野営となることが予想されることから下着類等の個人携行品を多めに持って行くことにした。また我々が普段準備している個人携行バックは布製のボストンバックであるが、海外派遣であることから比較的丈夫なスーツケースで持って行くことにした。

派遣の話が具体化したのは午後5時30分頃と記憶している。不足している個人携行品及びスーツケースを取りに1回自宅へ帰る必要があった。急いで帰り、自宅でスーツケースに荷物を詰め直していると「成田までは羽田のMHで行くことが決定した。」と連絡が入った。車は渋滞が予想されたので非常にありがたいものであった。こうして成田へ着くと2100より結団式を行い、2155にAF273便にて日本を離れパリ経由イスタンブールへ向かった。私が情報を入手したのが午後4時頃であるので、現地時間にして午前9時、発災後6時間である。そして日本チームが出発したのが現地時間で午後2時55分、発災後11時間55分であった。国際派遣ということを考えれば早い対応であった。

 

 

 

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