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・開放的国際経済体制の維持は日本と世界の利益になる。

日本は貿易立国を果たす過程で、自由で開放的な国際経済体制から最大の利益を享受してきた。ODAによる所得再分配は、地球社会全体の安定と協調の維持のために必要であり、国際経済体制を安定させる効果をもっている。

・人類の生存のために環境を守る。

環境問題は地球規模の問題であり、特に日本の周辺諸国で起こる環境の悪化は、日本自身の環境にも重大な悪影響を及ぼします。途上国の多くは、環境問題に取り組む意思はあっても資金と技術が伴わず、これを放置すれば、日本自身ひいては世界全体の環境にも悪影響が及ぶ恐れがある。

・日本に住む人々の生活を守る。

環境問題の悪化とともに新興感染症、貧困を背景とする紛争、テロ、難民などの開発途上国の問題が、日本にとっても深刻な脅威となっている。ODAを通じた途上国の貧困の緩和や保健・医療の改善などに向けた支援は、途上国の人々の生活向上に役立つのみならず、日本に住む人々の生活を守ることになる。

・日本の国際的地位の源である。

日本が40年以上にわたりODAの拡充に努め、世界一の援助国になった過程で、「ODAを通じた途上国への協力に熱心な国」という日本の良いイメージが国際的に定着し、その国際社会における発言力も強まった。

 

(3) 成り立ち

ODAの原形モデルは、第2次世界大戦後における、マーシャル・プランによって、アメリカが戦災から立ち直ろうとするヨーロッパ諸国に対して行った復興援助に見られるといって良い。日本もまた同様に、戦後、復興のための資金、物資等の援助を、アメリカをはじめとする欧米諸国から受けた。

やがて東西冷戦が進むなか、援助対象国が両陣営の競合地域である開発途上国へと拡大されていくと同時に経済復興を成し遂げたヨーロッパ諸国は援助国となっていった。

わが国の政府ベース技術協力は、1950年、英連邦諸国が中心となって、アジア諸国の社会・経済開発を行うため発足させたコロンボ・プランに、1954年、加盟したのが始まりである。また、援助の意見交換・政策調整のために、1960年、「開発援助グループ」が設立された。

 

 

 

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