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いずれにせよ、海賊会議というマルチ(多国間)の場で検討された方針を深化する形で、今後はバイ(二国間)の関係を発展させる段階に来たということができます。

 

近隣諸国との海上保安交流の強化

我が国と一衣帯水の関係にある近隣諸国の海上保安機関とも、大きな進展のあった1年でした。韓国海洋警察庁とは、前楠木長官のときに、日韓の協力文書の策定が行われましたが、その条文に基づいた形での日韓合同救難防除訓練が、11年10月に釜山沖で成功裡に行われました。当庁からは、荒井長官が参加し、その機会にキム・デウォン庁長とのトップ会談を行い日韓の協力関係にはずみをつけました。先般の海賊対策国際会議に、就任のキム・ジョンウ庁長が出席されたのも、就任早期に日本との関係を引き続き強化したいとの意向の現れと見ることができましょう。

中国には、本年4月に荒井長官が海上保安庁長官として初めての訪問を果たしました。現地では、カ・シュンオウ公安部長との会見をはじめ、朱副部長とも密航・密輸、海賊対策などについて会談を行い共通認識を涵養しました。これら関係諸国とは、お互いに対処すべき目的が共通であることから、情報交換の円滑化等をはじめとする協力関係を強化することによって、国際化する海上犯罪に対処し、平和で安全な海を創出するというのが基本的な考え方です。こうした観点から中国公安部との協力文書についても、長官の中国訪問を契機に、今後更に協議の進展を図ることとしています。ロシアについても、国境警備庁との同様の関係を進展させるべく、本年秋にも、関係強化のための交流を予定しています。なお、救難・防災面での協力については、従来より確立されてきた国際関係が引き続き順調に発展しています。

 

フォーラムへの参加

シンガポールで開催された本年の海上保安主管庁フォーラム(MARITIME SAFETY AGENICIES FORUM)には、長官が出席し、航行安全のセッション(電子海図やVTS等航行援助施設の議題)の座長を務めました。本フォーラムは、海上安全に関する関係官庁の会議ではありますが、トップが一堂に会し顔を合わせ直接情報交換ができるという利便があり、会議の幕間においても海賊等の話題について種々意見交換がなされました。

 

 

 

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