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(2) 子どもたちの集団生活の場

子どもたちは、日々、他の子どもとの関わりの中で生活している。ほとんどの子どもが対人関係に何らかの問題を抱えているため、日常生活は他の子どもと関わるこの上ない体験の場であり、相互作用の中で成長をしていく。私たちは、成長促進的な環境の中で子ども達を支持することによって、間接的に子ども一人ひとりの成長を促すように関わっている。子どもたちの相互作用は、日常生活ではごく自然な流れの中でおこなわれており、子どもたちにも「治療」という構えを起こすことなく「自然に成長していく」環境として治療的な意義が高い。

こういった集団の相互作用という要素を心理療法の中にも取り入れている。エンカウンター・グループや心理劇というように、構造化された臨床心理学的なプログラムの実施や創作活動、スポーツといった自己表現、コミュニケーションの発現を促すような関わりをおこなっている。

 

(3) 家族との関係

こどもL.E.C.センターの利用は基本的に、本人、家族の同意のもとでおこなわれている。当センターを利用する子どもは、家族の中で多少なりとも扱いに困る存在であることが多い。また、家族機能自体に何らかの問題が生じていることもあり、子ども自身の問題を解決するとともに、家族を支え家族機能を改善することがクライエントの問題解決への近道となることがある。つまり、個人としての子どもと、家族のメンバーとしての子どもという2つの視点が必要であり、当センターは、定期的に、家族面接、親面接という形を取っている。

 

このように従来の心理療法そのものをおこなうのではなく、心理臨床の場としてのこどもL.E.C.センターの特徴を把握し、入所・通所している子どもたちの様子を見ながら考えることが、より有効な治療的効果を生み出すものであると考えられる。

 

 

 

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