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ルーチンでのグローバルな観測を行ったのはADEOS/OCTSが一番早かったが、惜しくも打ち上げ後8ヶ月間でその命を終えた。その後打ち上げられたSeaWiFSは、空間分解能ではOCTSに劣るものの、未だに高性能を維持しており高い品質のデータを供給し続けている。これに続いてAqua/MODISが打ち上げられ利用に供されつつある。更に我が国のGLIやヨーロッパ宇宙機関のMERISが打ち上げ予定であり、その後も多くの海色観測に適した衛星センサが計画されている。雲に覆われて海表面が観測できないことを考慮外とすれば、ここしばらくはこれらのセンサによりほとんど毎日海色観測が行われる状態が続くであろう。

 

4. 局地的なブルームの検出の可能性について

典型的な海色センサではどの程度のスケールのブルームが観測可能であろうか?

植物プランクトンのブルーム現象について、CZCSを用いた伊豆半島東南部沿岸部での局地性湧昇による報告がある(Ishizaka et al.,1992)。それによれば、5km×10km程度の範囲で植物プランクトン色素濃度が1μg/l程度に上昇している様が捉えられている。

また、当時の大気補正技術では色素濃度の推定値と船舶による実測値との間に数倍程度の開きがあったものの、船舶航行観測による色素濃度の空間分布は衛生のそれと驚くほど良く一致した。これらのことから数km程度の空間スケールを持つブルームであれば、衛星から捉えることは十分に可能であると考えられる。

図2-32にはSeaWiFSによる沿岸域のクロロフィル濃度画像の例を示す。図(a)は2000年5月30日の宮城県沖から三陸沿岸の画像である。沖合にかけて、細かい水塊分布が見てとれる。ここでは更に極沿岸域における小スケールの水塊分布に注目する。図(b)は石巻湾(東西約20km)を中心とした部分の拡大画像である。クロロフィル濃度1〜20μg/lの範囲で、細かな水塊分布を見ることができる。この拡大画像での1画素のサイズはSeaWiFSの最大画像度と同じ約1kmであり、これからも数km規模の拡がりを持つブルーミングは十分に検知できることがわかる。

 

 

 

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