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LPクリニクだより

生活習慣改善奮闘記

 

その6

頭にきて“たばこ”止めました

北谿文一(59歳)

忘れもしない平成11年12月7日。風邪を引き、喉がはれ、会社の診療所に行きました。

その時の若く恐い女医さんにぼろくそに言われたことを今でもはっきり覚えています。

「どうしたのですか」「風邪を引いて喉が痛いのでクスリをもらいに来ました」「だいぶ腫れていますね。たばこは吸いますか」「はい、20本ほど吸います」「今日から止めなさい」「え、何故ですか。風邪に関係があるのですか」「もちろん、あります。それより、北谿さん、肺気腫じゃないですか。何を考えているのですか。すぐ止めなさい」「止める努力はずっとしているのですが、なかなか止められません」「そういうのは努力とはいいません。止めないならクスリは出しません」。

頭にカリカリ来ました。風邪グスリごときで何でこんなにボロクソに言われなければならないのか。やっと思い留まり、「はい」と言って(止めるつもりはない)、風邪グスリを手に入れました。

12月8日、6時半起床。なぜか、昨日のことが思い出されて、カッカしてきました。あんなにクソミソに言われたのだから、寝起きの1本止めてみるか。我慢して、洗顔、新聞、朝食。朝食後の一服も我慢して、着替え、そそくさと家を出てバスに乗りました。しかし、駅のホームで吸いたい発作が起こって我慢できません。もうダメだと思っているところへ、電車が入ってきて辛うじてセーフ。8時20分、会社に着く。何時ものクセでたばこを手にする。もういいかと思いつつも、たばこの先にコーヒーを作って飲んでいたら8時半になる。何はともあれ机に座り、パソコンを立ち上げ、メールを読み返事を書く。9時、一服の時間である。…もう思い出せません。何せ、必死になって耐えました。便所へ行ったり、外へ行ったり、ガムを噛んだり何とか12時まで耐えました。新記録樹立です。たばこを半日吸わなかったことは初めてです。ドックの日でも、胃カメラの日でも我慢できずに、朝吸っていました。午後はもっと苦しかったのをおぼろげに覚えています。30分から1時間ごとになんともいえない発作が襲ってきました。もう耐えられない。家に帰って布団をかぶって寝ようと何度も思いました。しかし、会社にいるから何とか我慢できるのだと思い直し、歯を食いしばって我慢しました。夜、7時半に家に帰り、無言でフロに入り、いつもの倍、ビールを飲んで9時には布団をかぶって寝ました。かみさんがけげんな顔をして、どこか悪いのかと聞いてきましたが、答える余裕がないので無言で寝ました。目が覚めたら朝でした。今、思い出してもほんとにラッキーだったと思います。夜中に目が覚めていたら、朝まで我慢できたかどうか分かりません。

この朝(12月9日)、初めて真剣に止めようと決心しました。この私にも1日たばこが止められた。ここで止めなきゃ、死ぬまで止めれない。どんなに苦しくても止めよう。この日から、年内(20日間)必死になって我慢しました。発作が毎日、間断なく襲ってきました。その度に、1〜2分じーと息を止めてただただ耐え、やり過ごしました。これの連続です。

日に20回ほどだった発作も日を追うにつれて減り、10日後には7〜8回になりました。発作にも慣れ、次の発作の予測ができるようになり、やっと少し、余裕が出てきました。耐えることの連続で、やっとの思いで年を越し、なんとか1年経ちました。からだのほうも、駅の階段の上り下りに息切れがしなくなり、禁煙の効果がはっきり出てきています。これからも続け、体調を維持し長生きしたいと思います。もう、遅いかな。

 

 

 

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