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私は人の役に立てるということがとても幸せですし、世話をする相手がお祖母様でよかったと思います」とよくいいます。そして祖母が元気でいることが私たち家族の気持ちの支えになっていることを言葉に出していいます。祖母がいてくれることの意味、感謝の気持ちというのをなるべく言葉で伝えるようにしています。

 

おわりに

介護は1人ではできません。家族や専門職を含めたチームワークが必要です。その際、家族がしっかりとした介護観を持ち、その介護観に添って手助けし、育ててくれるのがヘルパーなり介護士なのだと思います。

よく介護する人は大変だといいますが、介護される側も大変なのです。人が常に側にいることでストレスにさらされています。入浴、睡眠、食事、排泄、1人でしたいことはいっぱいあります。そういう気持ちをどこかで大きく転換して、介護されることを受け入れてきたのです。そういうことを分かっているのといないのでは違うと思います。

介護というのは非常にゆるやかですが、ターミナルケアの1つだと思います。介護者には、その人の人生最終版の生活をどう演出するか、どう楽しく過ごしてもらうかということが託されています。とはいっても、疲れたとか、面倒くさいとか思うこともあります。でも最後のところで踏ん張れるのは、人の命を託されているという自覚です。そういうごく当たり前のことを大きなところで分かっていることが大事です。

介護を通して祖母と暮らしてきたこの7年間は、誰のためというのではなく、自分の人生だと思っています。

 

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家庭介護の真髄をインタビューする日野原先生と小倉さん

 

Seminar

6月のセミナーから

臨床看護学セミナー

全人的アプローチとしての腹臥位療法のすすめ

 

6月17日(土)、千代田区公会堂において標記のセミナーを開催いたしました。

急速な高齢化にともない、寝たきり高齢者の問題はますます深刻になってきています。今回の臨床看護学セミナーでは、この寝たきり間題への1つの提言として「腹臥位療法」をとりあげました。

VITA臨床生命学研究所所長の有働尚子先生は、フランス留学中にこの療法の成果を実感し、現地で学ばれました。先生には「腹臥位療法」の理論についてお話いただきました。またこの療法をいち早く取り入れ効果をあげている加西市立病院からは、看護部長の熊谷佳代先生をお招きし、その実践と活用についてお話しいただきました。

理論と実践にもとづいたお2人のお話は、参加者の方々にもご満足いただけたようでした。最後に日野原先生は、医療はまだまだ発展途中で未知の部分があること。高齢化社会を迎えて、ひとり一人がよい生活習慣を身につけ、生涯心身ともに健やかに生きられる社会を創って生きましょうと結ばれました。

 

一般向けセミナー

脳を守り育てる

6月7日(水)千代田区平河町のLPC健康教育サービスセンターに、浜松医科大学名誉教授の植村研一先生をお迎えして、セミナーを開催いたしました。

植村先生の独特の語り口調を慕うLPC会員は多く、当日は定員80名を大幅に超える方たちがお集まりくださいました。

先生は、いつまでも若々しい脳を保つ一番の秘訣は、よい生活習慣を身につけ、適度な運動、適度な食事を心がけ、何にでも興味を持ち、知識を詰め込むだけではなくそれを吐き出すことにも意を注ぐことが必要だと話されました。

 

 

 

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